日本の政治と社会

ウォール・ストリート・ジャーナル(WSJ)のインタビュー記事が、自分の本意と違ったことを書いているというので、本田内閣参与がWSJに抗議したうえで、その結果を菅官房長官に報告したところ、菅官房長官の口からメディアへ経緯の説明がなされ、その中で、WSJは記事を訂正してもよいといっている、と言及した。

安倍首相が立憲主義の否定に向けてまた一歩踏み込んだ。集団的自衛権についての憲法解釈の変更について、閣議で決定の上、自衛隊法の改正など必要な法改正手続きに入りたいと、国会の質疑の場で明言したのだ。いままでは、安保法制懇などの議論を踏まえ、国会に図ったうえで解釈変更するというような趣旨のことを言ってきたのが、一挙に考えを翻して、内閣(行政権)だけの判断で、憲法解釈を変えると言い換えたわけだ。これでは立法機関である国会が無視されるばかりか、憲法の規定も形骸化される。立憲主義を全面否定するものだといってよい。

舛添都知事が憲法改正をテーマにした新刊を刊行し、その中で立憲主義を擁護している。氏は、自民党の憲法草案について、「憲法は国家権力から個人の基本的人権を守るためにあるという立憲主義を理解していない人が書いている」と批判し、また、良き伝統を子孫に継承するとした前文や、家族の助け合いを求める条文などについて、「価値判断を憲法に入れるべきではない」と指摘している。

このところ、いわゆるチーム・アベのメンバーによる失言騒ぎが続いているが、今度は安倍政権のブレーンともいうべき内閣参与から、失言と言うべきか、率直な意見と言うべきか、とにかく物議をかもしそうな意見が飛び出た。場所はアメリカのメディア、ウォール・ストリート・ジャーナルのインタビューの場。そこで氏は、安倍首相の靖国参拝を擁護する一方、アベノミクスの目標は、賃金上昇と生活向上のほかに、(力強い経済力を持つことで)より強力な軍隊を持って中国に対峙できるようにするためだと語ったそうだ。

NHKがキャロライン・ケネディ米大使への取材を申し込んだところ、米大使館側から断られたという。理由は、NHKの百田経営委員による先日の反米発言にあるらしい。そのほか、籾井会長の言動に対する批判も含まれているらしい。米大使館が独自の判断で行ったとは考えがたいから、オバマ政権もこれを容認していると思った方が良い。また、ことは一NHKのみに留まるというより、NHKに象徴的に表れている日本政治の右翼的傾向への、米側の強い懸念を反映したものと考えた方が良いのではないか。

安倍首相の腹心である衛藤首相補佐官が、今回の靖国問題で米政府が「失望した」との声明を出したことについて、「むしろ我々のほうが失望だ」と逆批判と言うか、逆切れしているそうだ。

国会の質疑(衆議院予算委員会)の中で、派遣労働の規制緩和についての野党の質問に対して、安倍首相は、一方では派遣労働についての規制を大規模に緩和し、ほとんど規制なしの状態に改めようとしながら、派遣で働く人々を「増やすべきだとはまったく考えていない」と答弁した。

片山善博氏が、JR北海道の不祥事とそれに対する国土交通省の居丈高な断罪ぶりに触れて、興味ある提言をしている。(「JR北海道の安全管理と道州制特区」世界3月号)

安倍首相が国会論戦の場(衆議院の予算委員会)で、集団的自衛権の行使の容認について聞かれ、「(憲法解釈の)最高の責任者は私だ。政府答弁に私が責任を持って、その上で私たちは選挙で国民の審判を受ける。審判を受けるのは内閣法制局長官ではない。私だ」と答弁した。これは、内閣法制局長官ではなく、首相こそが憲法解釈の責任をもっているのだ、ということを主張したかったようなのだが、実際には、違った風にうけとられた。選挙で勝ちさえすれば、いかようにも憲法解釈を変更できるというように受け取られた。与党の自民党でさえそう受け取ったものが多かったらしく、総務会では安倍首相を批判する意見が多数出たそうだ。

新たに都知事になった舛添氏が、東京を「世界一の街」にすると意気込んでいるそうだ。筆者もその意気ごみには賛成だ。そこで舛添氏の意気を買って、ひとつ提案したいことがある。東京の景観を、世界一とは言えないまでも、世界一流のレベルまで引き上げて欲しい。というのも今の東京の景観は、歴史と文化を誇る国の首都としては、あまりにもお粗末だからだ。

安倍首相の肝いりで任命されたNHK経営委員の一人である某氏が、東京都知事選に立候補した某極右候補の応援演説の中で、対立候補を「人間のくず」と罵倒する一方、「南京大虐殺はなかった」と主張し、また、原爆投下と東京大空襲を大虐殺と位置付け、東京裁判は「これをごまかすための裁判だった」と主張したことで、大きな波紋を呼んでいる。

先日、教育委員会を首長の諮問機関に格下げする案を自民党が出したところ、教育への政治介入の拡大を憂慮した公明党が難色を示したために、自民党は新たに、代表教育委員なるアイデアを出してきた。これは、執行機関としての教育委員会の位置づけは従来のままで、教育委員長と教育長を一体化させた代表教育委員なるもの設置しようというものだ。こうすれば、教育委員会の自主性は保証されつつも、教育行政への知事の関与も強化され、教育委員会の責任ある運用が期待できる、と自民党は説明しているようだが、果してそうか。

国会の質疑で野党議員から自身の憲法観について聞かれた安倍首相が、「考え方の一つとして、いわば国家権力をしばるものだという考え方がある」として立憲主義の考え方に触れたうえで、「しかし、それは王権が絶対権力を持っていた時代の主流の考え方であって、いま憲法というのは日本という国の形、理想と未来を、そして目標を語るものではないか」と述べたそうだ。

安倍政権が教育委員会制度の改革に乗り出した。報道等によれば、現行法律上執行機関として位置付けられている教育委員会を首長の(審議・勧告のための)付属機関とし、現在は教育委員会によって任免されている教育長を首長による任命に切り替え、教育行政に首長の意向を直接反映できるようにする、ということらしい。

開会したばかりの国会の代表質問で、民主党の海江田代表がNHK籾井新会長の「慰安婦」を巡る「失言」について安倍首相の考えを問いただしたところ、安倍首相は「政府としてコメントすべきではない」と答え、これについて自分が問題視することはないとの考えを示したうえで、「新会長をはじめ、NHKの皆さんはいかなる政治的圧力にも屈することなく、中立、公平な放送を続けてほしい」と述べたそうだ。

NHKの籾井会長が就任会見で慰安婦問題に触れ、「当時の戦争地域には大体つきものだったと思う。(問題は)日韓基本条約で国際的に解決している。それをなぜ蒸し返されるのか」と発言したことについて、本人は適切ではなかったと反省しているらしいが、安倍政権では必ずしもそうは考えていないようだ。サンケイによると、菅官房長官は記者会見の席上、「会長が個人として発言したと承知している。その後『取り消す』と言っており、問題ない」と述べ、国会審議への影響も「全くない」と強調したそうだ。

NHKの新会長に就任したばかりの籾井勝人氏が、就任記者会見の席上「従軍慰安婦問題」に触れ、「戦時だからいいとか悪いとか言うつもりは毛頭ないが、このへんの問題はどこにもあった」という発言をしたそうだ。あたかも、戦時下の日本軍による従軍慰安婦制度を正当化するような内容で、その点では先日国際社会からも厳しい批判を浴びて、急速に政治力を失った某政党の代表と同じ穴のムジナというしかない。

アベノミクスの当面の成功で、欧米諸国始め海外の評判もマアマアだった安倍政権だが、このところ、評判を落とすような失態を、ほかならぬ安倍首相自身がしているとあって、安倍政権下の日本を見る海外メディアの眼が厳しくなってきた。

ダヴォス会議での各国メディアとの会合における安倍首相の発言が大きな反響を呼んでいる。首相は、日中間で戦争が起これば両国にとって大きなダメ―ジになるから、偶発的に武力衝突が起こらないようにすることが必要だと述べる一方、今年が第一次世界大戦から100年目にあたることを引合いにだし、1914年以前の英独関係がいまの日中見解が似ているというようなニュアンスの発言をしたからだ。その発言を早速欧米のメディアが取り上げ、安倍首相は中国との戦争を避けられないと考えているのか、といった疑問が広範に湧きあがったというわけなのだ。

「日本の絞首刑」と題する永田憲史、デヴィッド・T・ジョンソンの共同論文が雑誌「世界」の2014年2月号に掲載されているのを興味深く読んだ。死刑というのは刑務行政の究極的な姿を反映するものであり、したがって多岐にわたる問題を含んでいるが、また著者たちの問題意識も多岐にわたるものであるが、とりあえず筆者は、日本の死刑執行形式である絞首刑の、執行の仕方に関心を持った。この問題については、過去にもこのブログで取り上げたことがある。

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