日本の政治と社会

安倍政権によるメディアへの言論統制は、日本の国内では大した抵抗に合わず、着々と成果を上げているように見える。先日は、電波を所管する総務大臣が、政治的公正を逸脱したと自分の判断したものには、電波を停止すると発言し、安倍総理もそれを追認したところだが、この「脅迫」に対して各放送局は、何ら効果的な反論をしないばかりか、萎縮しているようにも見える。そこをまた安倍政権側が見透すかして、ますますかさにかかって統制の圧力を高めている、というのが今の日本の言論をめぐるお寒い状況だ。そのお寒い状況をアメリカのメディア、ワシントンポスト紙(WP)が、わざわざ社説で批判している。それを参考のために引用しておきたい。

辺野古の米軍基地建設工事を巡って、安倍政権と沖縄県が訴訟合戦を展開して全面対決しているさなか、裁判所から出された和解勧告に、当初は従うつもりのなかった安倍政権が従う判断に傾いた。これを大方のディアは、翁長沖縄県知事の粘り勝ちのように報道しているが、ことはそう単純なものではない。

民主党の野田前総理大臣が連合の会合で挨拶に立ち、その中で現在岡田執行部が進めている野党再編に触れて持論を述べたそうだ。岡田さんが維新と合併しようとしていることについては、自分は不本意ながら同意する。しかし、野党結集の名のもとに小沢一郎と手を結ぶことは許せない、そんな趣旨のことを述べたという。その理由は、小沢一郎がごちゃごちゃと口を出したおかげで、民主党が分裂し、いまのような体たらくに陥った、その責任はあげて小沢一人にある、といった口吻のようだ。

参議院憲法審査会の質疑のなかで、自民党の某議員が、日本がアメリカの51番目の州になるべきだという趣旨の発言をしたそうだ。この事自体大いに問題だが、この議員はこの発言の関連で、オバマ大統領が黒人であることに触れ、黒人奴隷の子孫であるものでさえアメリカ大統領になれた、というような発言を併せて行った。メディアが飛び付いたのは、こちらのほうで、この発言が人種差別だといって騒ぎ立てた。一方、日本が米の51番目の州になるべきだとの発言については、ほとんど問題とされなかった。

タレントのベッキー(本名レベッカ・エリ・レイ・ヴォーン)が、妻帯者の男性と不倫したというのでスキャンダルとなり、散々なバッシングにあったうえで、芸能界から事実上追放されるという事態に追い込まれた。一方、不倫の相手方のタレント男性は、道義上の非難は浴びたものの、バッシングの程度はベッキーのように激しくはなく、芸能界から追放されるようなことはなかった。一方的に悪者にされ、世間に向かって深々と頭を下げて、謝りつづけるベッキーの姿だけが、印象に残った。その印象は無論後味の悪いもので、日頃芸能界などには関心のない筆者のような者の目にも、彼女のそうした姿が可哀そうに映ったものだ。

国会の質疑の中で安倍晋三総理大臣が「自衛隊は違憲」という発言をしたそうだ。といっても、本人がそう思っているということではなく、日本の憲法学者の大部分がそう思っているということに言及したうえで、もしそうなら自衛隊を憲法と適合させるために、憲法のほうを改めるべきだと言ったということである。

民主党の野田前首相がTBSのテレビ討論番組に出席して、自民党の安倍政権が進めようとしている軽減税率を"厳しく"批判した。その理由は、私は軽減税率に反対だ、というから、要するに結果を以て前提にとりかえることをしているわけだ。野田前首相が何故軽減税率に反対かと言うと、それを埋める財源がないからだという。"財源なくして政策なし"と言う鉄則に照らして、安倍政権のやろうとしていることは無責任だと言いたいらしい。

日韓間で政治問題化していた従軍慰安婦問題について、日韓両政府が合意した。合意内容の柱は、
・慰安婦問題は旧日本軍の関与の下、多数の女性の名誉と尊厳を深く傷つけた問題。日本政府は責任を痛感
・安倍晋三首相はすべての元慰安婦の女性に心からおわびと反省を表明
・日本は韓国が元慰安婦の支援を目的に設立する財団に10億円を拠出し、協力して事業を行う(以上「朝日」による解説から)
などというものだ。

夫婦同姓と女性の再婚禁止期間について定めた民法の規定について、その合憲性をめぐる最高裁の判決があった。夫婦同姓については、民法の規定は合憲だとする一方、女性の再婚禁止期間については100日を超える部分については違憲だとの内容だ。

沖縄振興を担当する某女性大臣が、沖縄の振興予算を削るかの発言をしたそうだ。安倍政権の辺野古基地強行建設に反対している翁長知事への牽制だろうとする見方がなされている。不可解なのは、どのメディアもこの発言をそのまま垂れ流すだけで、それを批判する論調が見当たらぬことだ。あたかも、この大臣の言っていることは安倍政権の本音なのであり、今更この大臣の言葉をあげつらっても始まらない、と考えているかのような雰囲気が伝わって来る。

朝日新聞が、自民党の党員・党友を対象に意識調査を実施した。その結果が昨日(11月30日)の紙面で紹介されていたが、なかなか面白い内容だ。歴代総裁の中で最も評価する者として安倍晋三(19%)の名が上った。二位は小泉純一郎(17%)、四位は中曽根康弘(5%)で、いわゆるタカ派の政治家が上位を占める。彼らは同時に新自由主義者でもある。一方、ハト派で財政出動推進者だった田中角栄(16%)は三位につけている。

日本の潜水艦隊は、アメリカ海軍もびっくりするほど有能なのだそうだ。その様子を英字紙 Japan Times が紹介した記事を読んだ。もっともその記事は、同紙のオリジナルではなく、日本の雑誌「選択」11月号に掲載されたものを英語に翻訳して、同紙がオピニオン欄に掲載したものだ。

ミャンマーで、アウン・サン・スー・チー女史率いる野党が大勝し、ミャンマーでも民主的な政権が誕生する可能性が言われる中で、日本の安倍政権も、ミャンマーに民主主義や法の支配が進むことを期待する、などと言表している。これは、日頃アメリカへの気配りに遺漏なきを期している安倍政権が、アメリカの言い分を鸚鵡返しにしているのだと忖度されるが、言うに事欠くとはこういうことを言うのだろう。というのも、安倍政権による法の軽視と言うか、法の破壊ぶりは、目にあまるというほかはないからだ。

OECDの最近の調査(OECD Better Life Index 2015)によれば日本人の生活満足度(Life satisfaction)は、OECD加盟国の平均を下回っているそうだ。満足度を引き下げている要因のうち比重の大きいのは可処分所得の水準と子どもの教育機会の充実度だ。

「にっちゅう」戦争と言っても、日本と中国との戦争、つまり日中戦争のことではない。「にっちゅう」の「ちゅう」は、中国の「ちゅう」ではなく、沖縄の「ちゅう」だ。「沖」という漢字は音読みだと「ちゅう」と発音するので、「日沖」戦争は「にっちゅう」戦争となるわけだ。

「人が犬になった」、こう言って内閣法制局を批判しているのは明治大学の西川伸一教授だ。教授は日刊ゲンダイのインタビューに答え、内閣法制局は法律の番人から政府の番犬になってしまったと言うのである。なかなか洒落た表現なので、筆者などは思わず笑ってしまった。

日本のイエロージャーナリズムの旗手を自認する週刊文春が、イエロージャーナリズムの不可欠の要素たる露骨な性表現を巡って君子然とした態度をとったと言うので話題になっている。最新号で、目下永青文庫で開催中の春画展を紹介する記事と併せて歌麿や北斎の春画をグラビアで載せたのであるが、どういうわけかこのグラビア写真が「編集上の配慮を欠いた」と言う理由で、編集長を休養という名の謹慎処分にしてしまったのだ。

安倍政権が目下売り物にしている女性活用策を、ウーマノミクスというのだそうだ。経済活性化を目指したアベノミクスに、ウーマンという言葉を付け替えることで、女性の活用を目指すという意味合いを含めている、というつもりらしいが、外国メディアには必ずしもそうは映らないようだ。この言葉が彼らに連想させるのは、女性の活用というよりも、女性の経済的な搾取ということのようだ。英誌エコノミストがその辺のことを取り上げて論評している。(We're busy. Get an abortion  )

8月30日には、安保法制に反対するデモが国会前で10万人規模に膨れ上がったのを始め、全国各地の都市でも行なわれた。しばらくデモの風景を見なかった日本でこんなに大規模なデモを見るのは1960年台後半以来ほぼ半世紀ぶりのことだ。それでこうした動きにマスコミがどう反応したか、興味深いところであろう。

法制審議会が、法務省の諮問を受けて、性犯罪の厳罰化の検討に入るという。背景には、裁判員制度の導入に伴い、殺人を中心にした凶悪犯罪の重罰化の傾向が強まっているなかで、性犯罪が他の犯罪と比較して軽い量刑で済まされていることへの、裁判員=市民の率直な違和感が働いているということらしい。

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