日本の政治と社会

安倍晋三総理の米議会演説を新聞で読んで思わず吹き出してしまった。まるで、ラブレターを読んで聞かされているような気がしたからだ。いい男が、自らの切ない心のたけを諄々と述べ立てる。それは自立していない女がマッチョな男に向って、愛を告白しているようにも聞こえた。いつまでも君と共に歩みたい、と。これはどう見ても尋常ではない。

安倍晋三総理のアメリカ訪問のタイミングを狙ったかのように、日米防衛指針が18年ぶりに改訂された。安倍政権が決定した集団的自衛権の行使を念頭に、自衛隊が米軍と一体となって、地理的条件の制約なしに、世界中で展開しようとするものだ。これはアメリカが日本に対して積年求めていたことに応えるもので、安倍総理としては、訪米の大きな手土産になることだろう。

インドネシアで開かれているアジア・アフリカ会議(バンドン会議)の60周年記念首脳会議の席上、日本の安倍晋三首相が行なった演説の全文を、ネットで入手したので、参考のため引用しておく(アジア・アフリカ会議での安倍首相スピーチ全文 )。

安部政権の与党自民党が、テレ朝とNHKの幹部を呼びつけて、個別の番組について注文をつけた。いままでの日本の言論の歴史の上でも、ちょっとレベルの違う介入というべきだが、今のところ、メディアも含めて、あまり大きな騒ぎにはなっていない。見ているとどうも、メディアはメディアで、権力にやられっぱなしで、まるきり意気地がないように見えるし、一般世論のほうもあまり大きな関心を寄せていないように見える。

安倍首相が翁長沖縄県知事との初の対話の場を持った。だが、実のあるある対話とは程遠かったようだ。というのも、安倍総理には翁長知事の要求にまともに答えようとする姿勢が伺えず、翁長知事のほうも、沖縄の人々の思いを一方的に述べたという印象が強い。要するに、話が全くかみ合っていないわけだ。

先日「外国特派員の目から見た日本の報道の自由」と題して、最近の日本の歴史修正主義的な動きに対する外国人ジャーナリストの受け取り方について、このブログでも紹介したところだ。この記事は、外国特派員協会の機関誌に掲載されたこともあって、日本にいる外国人ジャーナリストたちに大きな反響を巻き起こしているようだ。

安倍政権になってから、日本の対米従属体質がいっそうあからさまになった、と思っている者は筆者のみではあるまい。その象徴的な事例が沖縄だ。安倍政権は、日本人である沖縄の人々の訴えを無視するような形で、米軍の辺野古移転を強行しようとしている。日本人の幸福と安寧よりもアメリカの都合が優先する、そういう姿勢が極端に現れている。これでは、日本がアメリカの属国であるということを自ら主張しているようなものだ。

歴史の否認

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「日本戦後史論」の続き。白井聡は、「永続敗戦論」の中で、戦後日本が一方では対米従属を続けながら、他方ではアジアの国々、とりわけ中国と韓国に対して居丈高な姿勢を取り続けてきた原因を、敗戦の否認に求めたわけだが、敗戦の否認のような歴史の否認現象は、なにも日本に限ったことではなかった、と内田樹は補足する。大きな意味での歴史の否認ということでは、日本が隷従しているアメリカも、行っている。アメリカは、原住民の虐殺と土地の略奪ということろから歴史が始まる。しかし、それをなんとか正当化しないと国が持たない。そこで、なんだかんだといって歴史を歪曲してきた。それは、日本における敗戦の否認という歴史の歪曲が精々70年のスパンしか持たないのと比べれば、もっと壮大なスケールの歪曲だと言いたいようなのである。

昨日の当ブログで、日本における報道の自由が、「国境なき記者団」によって低く評価されていることに言及した。普通の日本人は、日本を開かれた民主主義国家と思っているだろうから、この評価は意外に聞こえるだろう。何故外国のジャーナリストたちは、そのような目で日本を見るのか。この疑問の一端に答えるような意見を、一人の外国人特派員が述べている。

昨日の当ブログで、日本政府が韓国を名指しして「価値観を共有しない」と表現したことに触れたが、自民党のある幹部の言うところによると、その理由は、産経新聞の支局長の言動に対する韓国側の対応にあるということらしい。この幹部によれば、韓国政府がこの程度のこと(朴大統領に対する名誉棄損ということになっている)で、記者を訴追するのは、報道の自由と言う理念を大きく逸脱するものであり、日本政府としては、そのような国を、日本と価値観を共有する国とは言いたくないということのようだ。

昨日(4月7日)公表された「2015年版外交青書」は、尖閣や竹島をめぐる領土問題で中韓の反発を招いているが、それに劣らず重要な問題を含んだものだった。過去の外交青書は、韓国を「価値観を共有する国」と表現していたのだが、今回はその表現を削除している。これは、今後の日韓関係及び国際社会における日本の地位を考えるうえで、非常に重要な変更というべきである。

安倍政権の菅官房長官が、沖縄県の翁長知事と話し合いの場を持った。これまで、翁長知事側からの呼びかけに全く答えず、無視し続けて来た安倍政権が、何故突然、自分の方から話し合いを呼び掛けたのか、大方の日本人は奇異に感じたことだろう。だいたい、こういうケースで、政権が急な心変わりをする時には、その影にアメリカ政府の意向が働いているというのが、経験的な法則のようなものだったわけだが、今回もそれに当てはまるようだ。というのも、菅官房長官は、この話し合いで実質的な成果が出ることを期待していたようには見えないからだ。ただ単に、話し合いの場を持って、沖縄の意見も聞いた、ということにしたいという目論見が、透けて見えてくるのである。

いわゆる「残業代ゼロ」法案を、安倍政権が閣議決定した。安倍政権は、この法案をなんとか成立させたいようで、法案にまつわるマイナスイメージの消去に躍起になっている。その一つが、この制度を、「成果に応じて賃金を支払う新たな制度」として、あたかもいいことづくめのように言い張るレトリックだ。

お笑い芸人爆笑問題の太田光が、ラヂオのトーク番組で、安倍晋三総理をとりあげ、バカだ、バカだ、と連呼したというので大騒ぎになっているらしい。安倍晋三を愛する人々は、これを反日的行為だとして、その売国的犯罪性を大いに非難しているようだ。もしも、安倍晋三総理が、太田光の言うようなバカでないのなら、この非難は一定の意味を持つかもしれない。しかし、安倍晋三という男が、太田光の言うように、本当にバカだったら、どうなのか。そんなつまらないことを考えさせることが、起こった。

朝日が「保守派の論客」のためにコラムを用意した。とりあえずその第一稿が4月3日の朝刊に載ったので、興味深く読んだ。そのコラムは保守思想家を標榜する佐伯啓思氏の「異論のススメ」というもので、デビュー作として「本当に『戦後70年』なのか」と題する小論を起稿している。

新聞調査会が面白いアンケート調査結果を発表した。最も有名な日本人は誰だと思うか(真っ先に思い浮かぶ日本人の名前は何か)という質問にたいして、欧米では昭和天皇、アジアでは安倍晋三という名が返って来たというのだ。

米紙ワシントン・ポストが、安倍総理へのインタビューの全容を、3月18日付のコラムで紹介した(David Ignatius's full interview with Japanese Prime Minister Shinzo Abe )。安倍総理が4月に訪米し、上下両院合同集会で演説する事態を前に、安倍総理の発言がどのようなものになりそうか、事前にチェックしておきたいという趣旨のようだ。

三年ほど前に「共食い」で芥川賞をとった作家田中慎也の新作「宰相A」がベストセラーになっているそうだ。題名が暗示しているように、この小説はある国の宰相、つまり首相の言動をテーマにしているのだが、その首相というのが、誰が読んでも安倍晋三のことだとピンとくる。その安倍晋三が、この小説の中では、全体主義の権化のように描かれているというので、日頃安倍晋三の言動に、親愛の感情を覚えている者も、忌避の感情を覚えている者も、こぞって関心を掻き立てられるということらしい。

辺野古の問題を巡り、沖縄の翁長知事が、埋め立て作業に関連する岩礁破砕許可の取り消しを打ちだしたところ、安倍政権は、行政不服審査法にもとづく審査請求をする方針を採用、併せて知事の移設作業停止指示を取り消すことを求めた。しかも、いつ出るかわからない採決が確定するまでの間、指示の効力を止める執行停止の申し立てを、所管官庁に行わせた。

いわゆる従軍慰安婦を巡る過去記事の一部を朝日が取り消したことを受けて、安倍政権とその取り巻きたちは、朝日に償いを求める一方、国際社会に対しては、そもそも従軍慰安婦問題なるものが存在しなかったかのような主張をしている。だがその主張は、なかなか思うような効果を上げていないようだ。先日は、従軍慰安婦についての記述を抹消するよう、アメリカの教科書会社に申し入れて断られたところだが、今度は、イギリスの大手メディアであるフィナンシャルタイムズが、中国人女性が日本軍によって、組織的にレイプされていたという話を流した(China's 'comfort women'By Lucy Hornby  )。

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