日本の政治と社会

先日、自民党の某女性国会議員が、国会審議での与党へのヨイショ質問の中で、八紘一宇を礼賛する発言をしたと聞いた時には、どうにも笑えないものを感じたものだが、質問者と与党とのやり取りが、今の安倍政権の体質を象徴しているようで、あまりにもしらけて見えるので、あえて物言う気にもならなかった。だが、ことが深刻な割に、たいして問題にもならず、大手メディアも大きく取り上げる様子がない。こういう風景を見せられると、なんだか唇さびしい気分になるものだが、当の発言を厳しく批判した人もいたことが最近わかって、少しは安心した次第だ。

安倍政権による、超憲法的というか脱憲法的というか、要するに憲法が想定しないような動きが加速度的に進んでいる。集団的自衛権の法理に基づく自衛隊の武力行使への前ノメリな動きは、その最たるものであろう。安倍政権は、これを合理化するのに、「普通の国」という理屈を持ち出している。普通の国のあり方というのは、憲法以前の、普通の国のあるべき状態をあらわしたものなのだから、あたかもそれは、憲法を超越する論理だと言わんばかりである。

日本国の安部晋三総理大臣にとって、ドイツのアンゲラ・メルケル首相の訪日はいったいなんだったのか。民主主義を標榜する国の首脳同士の関係にしては、両者のやりとりは、ちょっとぎこちないものになった。メルケル首相は、歴史認識や原発再稼動についての安部総理の姿勢を、間接的ながら批判するような言い方を繰り返し、安部首相の面子をつぶすような印象を振りまいた。それに対して安部首相は、大事な相手とあって正面から反発するようなことは慎んだが、内心面白くなかったに違いない。その証拠に、両者が自然な握手をしたという、この手の行事にとって肝心なパフォーマンスが、和やかな雰囲気の中で交わされたという印象がまったく伝わってこない。
安倍晋三総理大臣とその取り巻き連中による「歴史修正主義」の動きが、欧米のメディアに疑念を呼び起こしている。この疑念は、さまざまな形で表明されているが、その一つとして、過去の日本の帝国主義的な拡大政策と、今日の安倍晋三総理の歴史認識との関連について考察したものを紹介したい。Centennial lessons for Abe from the '21 Demands'by Jeff Kingston Japan Times  

日本にも対外スパイ組織を整備したいとする動きが安倍政権にあるとする記事をロイターが載せている (Abe administration considering creating MI6-style spy agency 。この記事は、この組織がイギリスのM16をモデルにしているのでは、と推測しているが、まだそんなに具体化はしていない、と断っている。

自民党の某女性代議士で農林水産政務官の要職にある人が、同僚男性代議士と「不倫」をしていた現場を週刊誌にすっぱ抜かれて、ちょっとした騒ぎになっている。この女性代議士は56歳の熟年女性つまり熟女であって、相手の男性が49歳の年下で、しかも既婚だというのが、面白おかしく取り上げられた理由らしい。この女性代議士は、自分の行為を軽率だったとして謝罪し、そのすぐあとに、身体の不調を理由に入院したそうだ。

厚労省の、派遣労働を担当する現職の課長が、「派遣は期間が過ぎたら使い捨て、モノ扱いだった」と発言し、物議を醸している。この課長は、ただ本音を述べたつもりのようだが、それにしたって人を馬鹿にした話だ。派遣労働者と雖も人間だ。人間としての尊厳を備えている。それをモノ扱いして恥じない制度を、ほかならぬ行政の直接の担当者が推進する、というのは、どう見ても狂った世界の眺めと言うほかはない。

英紙タイムズといえば、世界中に現存するメディアの中では最も古い伝統を誇る。論調は保守的である。そのタイムズが、現在日本を訪問しているウィリアム王子に触れ、王子がNHKを訪問する予定でいることに、批判のコメントを出している。

文官統制を規定している防衛省設置法12条を改正して、文官統制を廃止する動きについて、メディアから意見を求められた現職の防衛大臣が、これによって文民統制はかえって強化されると答えたそうだ。なぜそうなるのか、また、この規定の歴史的意義をどう考えるのか、という質問に対しては、この大臣は答えをはぐらかした。その理由が振るっている、この法律ができた時には、自分は生まれていなかったので、そんなことは知らないというのだ。

安倍政権の某閣僚が、国の補助金を受けていた企業から寄付を受けていた問題を追及されて、大臣の椅子を棒に振ったばかりだというのに、今度は某環境大臣と某法務大臣に同じような疑惑が持ち上がっている。どちらも、国から補助金交付を受けていた企業から、かなりの金額の寄付を受けていたことが発覚した。この問題について追及された某環境大臣のほうは、自分はその企業が国から補助金交付を受けていたことを知らなかったのだから、政治資金規正法に違反することにはならず、したがって違法な行為を行ったわけではないと釈明し、それを受けた安倍晋三総理も、本人は知らなかったと言っているのだから、これは違法ではないと擁護した。

皇太子が、55歳の誕生日にあたってなされた発言を巡って、大手メディアがそれをどのように報道したか、池上彰氏のコラム「新聞ななめ読み」が取り上げている。このコラムは、とりあえず朝日を主な対象としているので、まず朝日の報道ぶりを紹介している。朝日は、皇太子の「戦争の記憶が薄れようとしている」との認識を示したうえで、「謙虚に過去を振り返るとともに、戦争を体験した世代から、悲惨な体験や日本がたどった歴史が正しく伝えられていくことが大切」と話されたと伝える一方、日本国憲法についての皇太子の発言について触れていないと指摘している。

先日、予算委員会の席上、安倍晋三総理が民主党の議員の質問に対して「日教組」とデモをとばした問題で、民主党はこれを重く見て、再び安倍総理に問いただしたところ、安倍総理は開き直り、「日教組は国から補助金を貰っているにもかかわらず、民主党議員に献金した」というような発言をした。これには、日教組と民主党が早速、安倍総理の発言は全く事実無根だと反発した。調べてみるとそのとおりで、日教組は国の補助金を貰ってなどおらず、また、民主党議員に献金した事実はないということがわかった。それをもとに、三たび追及を受けた安倍総理は、今度ばかりは観念したらしく、ついにギブアップした、というような経緯をメディアが伝えている。こういう事柄を聞かされると、日本国民なら誰でも恥ずかしくなる所だろう。

沖縄の米軍が沖縄の日本人を逮捕したというニュースに接して度肝を抜かれた。何故日本にいる外国の軍隊が日本人を逮捕するのか。それには、法律上色々な理屈があることは、筆者も一概にわからないではないが、それにしても何故日本人が、日本の国に存在している外国の軍隊に逮捕されなくてはならないのか。これは、日本人として、その前に人間として、自然に湧いてくる疑問だろう。

作家の曽野綾子が産経新聞のコラムで主張した人種差別的な意見が大きな波紋を投げかけている。といっても、日本国内でというより、海外での話だ。日本のメディアは例によって反応が鈍く、海外での騒ぎが大きくなってから始めて取り上げたという次第だし、その取り上げ方も及び腰と言ってよいものだった。

今日(2月19日)行われた衆議院予算委員会の審議の中で、安倍晋三総理大臣が民主党の議員の質問に対してヤジを飛ばしたことが話題になっている。そのヤジと言うのは、「日教組」というものだった。ヤジを飛ばされた民主党の議員は玉木雄一郎氏。氏は、いま問題になっている農水大臣の献金問題について質問していたのだが、その質問を遮るかのように、安倍総理がヤジを飛ばしたということだ。飛ばされた玉木氏は、「総理ヤジを飛ばすのをやめて下さい」と抗議し、それを受けて大島予算委員長も安倍晋三総理をたしなめたそうだ。

シリアへの渡航を計画していたカメラマンに対して、外務省の職員が旅券法に基づく旅券返納命令を行使し、このカメラマンから旅券を没収したそうだ。カメラマンは、抵抗すること無く旅券を返納したが、突然のことで戸惑っていると言い、また、渡航や取材の自由はどうなっているのかと、不満を漏らしているそうだ。

ISISによる日本人人質事件への安倍政権の対応ぶりについて、さまざまな論調が飛び交っている。日本のメディアには、感情的に反応するばかりで、論理的な分析が伴わず、読むに耐えないものが殆どだが、海外の論調には、第三者の視点から、冷静に分析したものも見かける。その中で、筆者の目に留まったものを、参考のために引用したい。日頃保守的なスタンスをとっている Economist のものだ。

イスラム国による二人の日本人人質事件が発生し、それに関わってイスラム国側の発する映像が日本中の眼を釘付けにした。いまの所、人質のうちの一人が殺害され、もう一人の安全も深刻に危惧される状況にある。筆者はこうした動きを、固唾を呑んで見守っていた者の一人だったが、その過程での安倍政権の一連の対応には、首をかしげざるを得ないものを感じた。

二度目の中東訪問を行った安倍晋三総理が、手初めに会ったのはエジプトの専制的支配者アル・シーシ大統領だ。安倍総理はまた、エジプトで演説を行い、そのなかで中東の和平と発展のために25億ドル(約2900億円)の援助を行うと約束した。援助先はエジプトに限らず、シリアやイラクも含まれるようだが、アル・シーシといい、シリアのアサドと言い、専制的な支配者として、とかく批判の多い人物だ。それに肩入れしようとするかのような安倍総理の行動は、やはり問題があると言わねばなるまい。

ニューヨーク・タイムズ(WEB版)のオピニオン・コーナーに、安倍晋三の(とりわけ領土問題にかかわる)ナショナリズムを分析した小文が掲載されている。いつものとおり、参考資料として引用しておきたい。

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