日本の政治と社会

佐高信と寺島実郎の対談「この国はどこで間違えたのか」を読んだ。佐高はほんの最近読み始めたばかりだが、寺島の方は雑誌「世界」に連載中の文章など、すでにいくつか読み進んできた。佐高は自称他称とも左翼であり、旧社会党や現社民党を支持するなど一貫して左向きの姿勢をとってきたようだが、寺島の方はどちらかと言えば、中道保守的なスタンスを取ってきた。ところが、最近はそんな寺島でさえ、世間では左向きの論客として見られているという。それは、世間全体が大きく右に傾いたせいで、中道が相対的に左になったせいだ、と寺島本人が語っているとおり、いまの日本は右寄りのタカの天国になっている(「いまの日本はタカ派ばかり」と佐高がいうとおりだ)。

インドのモディ首相が初の外遊先として日本を選んだことに対して、安倍首相が最大限の礼儀を尽くして「おもてなし」をした。京都の観光旅行にお付き合いをしたり、一緒に夕飯を食ったりもした。その様子をテレビで見ると、まるでハネムーンのようである。ある意味、オバマの時以上のおもてなしぶりだ。

毒舌家で知られる評論家の佐高信のことを、筆者は名前だけは知っていたが、彼が書いたものは読んだことがなかった。最近、「週刊金曜日」という雑誌の中で、右翼の大物といわれる朝堂院大覚と対談しているのを読んで、そのなかでかなり過激なことを言っているのに感心し、一つ別のものも読んでみようという気になった次第であった。

日本の少子化が進み、その結果人口の急激な減少が懸念されるようになった。この減少は、世界史的に見ても前例のないすさまじい規模のもので、人口減少と言うような生易しい言葉ではなく、人口崩壊ともいえるものだと指摘されている。ある試算によれば、現在約1億3千万人の人口が、2060年には8千700万人にまで減少するという(もっとドラスティックに減少するという試算もあるようだ)。

筆者が属している所謂団塊の世代が今後後期高齢期から末期高齢期へと進んでいくに従い、年々死亡する人の数も増えて行く。NHKはそれを多死社会の到来と呼んでいたが、たとえば2030年には160万人もの人が死亡するだろうと推定されている。一方生まれる者はそれよりはるかに少ないから、人口が急速に減少するのも無理はない。

人々の間で徴兵制がホットな話題になっているようだ。安倍総理大臣自らが、徴兵制はありえないといって人々の不安を宥めようとしているくらいだから、いかに深刻に受け取られているか、わかろうというものだ。

渡辺靖著「アメリカン・デモクラシーの逆説」を読んで、ゲーテッド・コミュニティや監獄ビジネスの実態に関心を引きつけられたが、それと並んでもう一つ、アメリカの農業の実態にも強い関心を抱かされた。ゲーテッド・コミュニティや監獄ビジネスは、日本では起きる可能性が感じられず、したがって他人ごととして聞き流せるが、農業のあり方については、日本もアメリカの二の舞を踏むことになりかねない。つまり、問題としては非常に深刻なわけだ。

父子関係の取り消しを求めて争われていた三つのケースについて、最高裁の判決が出た。三つのうち二つのケースは、母親と子どもの側から提訴されたもので、いづれも、現在は子どもの血縁上の父親と母子が一緒に生活をしている事態を踏まえ、法律上の父親との間の父子関係の解消を求めたものだ。他の一つは、法律上の父親から出されたもので、自分と血の繋がっていない子どもとの間の父子関係の解消を求めたものだ。このいづれのケースについても、最高裁は父子関係の取り消しを認めなかった。その主な理由は、子の身分の保障という。

鹿児島県にある九州電力川内原発1、2号機について、原子力規制委員会が新たな規制基準に適合すると判断した。安倍政権は、「規制委が基準に適合すると認めた原発は再稼働を進める」という方針を出しているので、今後、地元の理解が得られれば、再稼働すると思われる。いまのところ、鹿児島県や薩摩川内市は再稼働に前向きな姿勢を示している。

安倍政権が国権的色彩の強い政策を次々と打ち出しているのをよいことに、国家権力の担い手たる官僚たちの攻勢が目立ってきている。秘密保護法の作成過程では、国家秘密と称して、情報を事実上官僚の手に独占することに成功したし、集団的自衛権の解釈見直しの過程を通じては、官僚が外交上の切り札を手にすることに成功した。そして今回は、警察や検察の捜査についての議論を巡って、司法取引や通信傍受の分野で、官僚の権力を更に強化するような動きが露骨に見られる。

消費税を10パーセントに上げるタイミングで、自民党と公明党からなる連立政権は、食品など一定の分野に軽減税率を導入することを方針として掲げている。そこで、その方針を具体化するために、経団連を始め、50ほどの業界代表から意見を聞く機会を設けたところ、経団連は軽減税率自体に反対する意向を示したそうだ。このこと自体は、別に不思議でも何でもないが、不思議に思われたのは、彼らがその根拠として示した理屈だ。軽減税率を導入すると、金持もその恩恵にあずかることになる。だから、そんな金持ち優遇の措置は、やめるべきだ、というのである。

先日、麻生太郎副首相が、いじめについて持論を展開し、「学校で一番いじめられるやつっていうのは、けんかは弱い、勉強もできない。しかも貧しい家の子」といったというので、ちょっとした話題になった。麻生副首相は、こういうことで、日本も外国から喧嘩が弱いと思われたらいじめられるから、喧嘩が強いんだということをわからせなければならない、という意味のことを言いたかったのだろう。

無覚先生:安倍政権がついに集団的自衛権の行使を容認することについて閣議決定しましたね。色々批判的な意見があったなかで、十分な議論を尽くすことなく、それこそあっという間と言ってよいほどの短期間で、従来の政府がとってきた憲法解釈を、180度転換しました。そのことによって、少なくとも内閣の姿勢としては、いつでも集団的な自衛権の発動が可能になる。これについては、憲法を無視するものだとか、これまでの国是である平和主義を捨てるものだとか、批判的な意見がある一方、日本の安全保障と言う点から、評価する見方もある。さて、皆さんはどのように評価しますか。

安倍政権が、次回の国会でカジノを合法化する法案を成立させる方針のようだ。その最大の目的は、2020年のオリンピック開催とならんで、日本の観光産業振興の起爆剤にしたいということらしい。この話はすでに、世界の博打業界を駆け巡っており、アメリカの博打業者などは、日本のカジノに多額の投資をして、その利権にあずかりたいとする意向を示しているそうだ。

都議会の本会議で、露骨な女性差別的言動が大騒ぎに発展した。騒ぎは日本国内に留まらず世界中を巻き込んだというので、さすがの安倍政権も黙っていられず、こんな言動をした議員は潔く名乗り出て謝罪しろといい始めた。というのも、この言動に関わった都議が皆自民党員だということは、誰の目にも明らかだったからだ。

安倍政権が、家事労働の分野に外国人を活用する方針を固めたそうだ。当面は大阪府など関西圏に限定し、「18歳以上、単身での入国」を前提に、外国人を受け入れるという。従事する仕事としては、掃除や洗濯などの家事労働というが、なぜこんな領域に外国人が必要なのか、安倍政権の説明でははっきりしない。というのも、安倍政権は、外国人に家事労働を担わせることで、日本女性の社会進出を促したいなどといっているが、他人に金を払って家事の代行を依頼するような女性は、そんなに多くいるわけではない。多くの女性にこの制度の恩恵が及ぶようにするには、外国人をとびきり安くこき使うことが前提になる。

安倍政権の成長戦略の柱のひとつは、日本を企業にとって活動しやすい国にすることで、外国資本を導入しようとする戦略だ。企業にやさしい国づくり、と言い換えてもよい。これは二つの政策からなっている。ひとつは労働者をやすくこき使える環境を整えてやること、もうひとつは大胆な企業減税だ。

いよいよ現実化した日本の人口減少傾向は、このまま放置しておくと、2060年には8700万人まで減少するだろうとの予測まであるなか、安倍政権がそれなりの危機感を表明し、人口維持政策を打ち出した。6月中にも閣議決定するいわゆる「骨太方針」のなかで、50年後の人口一億人を維持する目標を織り込むというのだ。

いわゆる「残業代ゼロ」の問題点については、このブログでもたびたび指摘してきたところだが、いよいよ安倍政権が法制化に向けて本格的に動き出した。一定の要件を満たした従業員については、労働時間についての上限を撤廃し、どれだけ働いても、残業代を支払わなくてもよいとする制度の導入だ。これが、導入されれば、将来的にその範囲が拡大していくことが予想され、日本の雇用慣行に歴史的な転換が起こると予想される。

いわゆる「残業代ゼロ」をぶちあげた安倍政権の産業競争力会議の場で、これまで慎重姿勢をとっていた厚生労働省が、容認の方向に転換した。当面は高収入で専門的な職種にかぎって、という留保条件付だが、労働者の報酬を、労働時間ではなく労働の成果によるものとし、そうした労働者には残業代を支払わなくてもすむようにする、というものだ。

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