ロベール・ブレッソンの1956年の映画「抵抗( Un condamné à mort s'est échappé )」は、ドイツ軍によって監獄に収容されたフランスの軍人が、脱獄を試みる様子を描いたもの。対独レジスタンスの一コマといってよい。原題に「死刑囚が逃げた」とあるように、主人公のフランス兵はナチスによって死刑を宣告され、絶望的な状況を生き残るために、脱獄を選ばざるを得なかたったのである。
ロベール・ブレッソンは、戦後フランス映画界に独自の存在感を示した監督である。ルネ・クレマンやジョルジュ・クルーゾーのような派手さはないが、堅実な映像作りを通じて、独特の雰囲気をかもし出した。1951年の映画「田舎司祭の日記(Journal d'un curé de campagne)」は、ブレッソンの代表作である。
ジュリアン・デュヴィヴィエの1955年の映画「わが青春のマリアンヌ(Marianne de ma Jeunesse)」は、フランス人好みのおとぎ話をイメージ化した作品。日本でも大変な評判になった。小生も青年時代に見たが、結構興奮させられたことを覚えている。デュヴィヴィエはフランスよりも日本でのほうで高い人気を誇ったのであるが、この映画は中でもかれの代表作として迎えられた。
ジュリアン・デュヴィヴィエの1932年の映画「にんじん(Poil de carotte」は、ジュール・ルナールの同名の小説を映画化したもの。原作は児童向けの、いわゆる児童文学ということになっているが、それにしてはテーマが深刻であり、児童を主人公にした大人のための文学といってよい。大人の心無い振る舞いがいかに子供を傷つけるかを描くことによって、世の大人たちに反省を迫るものといえよう。
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