クリント・イーストウッドの2004年の映画「ミリオンダラー・ベイビー(Million Dollar Baby)」は、プロボクサーを目指す貧しい女性が、実力と運で人気ボクサーになりあがった末に、試合中に被った怪我がもとで廃人になる過程を描く。スポーツ根性ものの要素に、ヒューマンドラマの味を加えたような作品だ。
クリント・イーストウッドの1995年の映画「マディソン郡の橋(The Bridges of Madison County)」は、ロバート・ウォーラーの同名の小説を映画化したもの。原作は1992年に刊行されるや爆発的なヒットを記録し、日本でも早速翻訳されて大評判となった。小生もその評判につられて読んだ一人だったが、読んでの印象はあまりはかばかしくなかった。中年男女の不倫の恋を描いたこの小説のどこが面白いのか。発想が子供じみているし、官能的なところもない、などと思ったものだ。
2006年のアメリカ映画「不都合な真実(An Inconvenient Truth デイヴィス・グッゲンハイム監督)」は、地球温暖化防止を訴えるアル・ゴアの活動を描いたドキュメンタリー作品。アル・ゴアが、世界各地を飛び歩いて行っているキャンペーン講演の様子を映し出しながら、アル・ゴア本人の私生活も懐古的に語られる。
2016年のアメリカ映画「私はあなたの二グロではない(I Am Not Your Negro)」は、アメリカにおける黒人への人種差別をテーマにしたドキュメンタリー映画である。黒人作家ジェームズ・ボールドウィンの未完成原稿を下敷きにしている。そのボールドウィン自身が画面に登場して、アメリカの人種差別のおぞましさを告発する。黒人だけではなく、原住民も差別されている。その原住民を悪魔のような存在に仕立て上げて、かれらを虐殺することを正当化するのが、アメリカ社会の真の姿だ。その真実をジョン・ウェインが象徴している。ジョン・ウェインは、西部劇映画の中でインディアン殺しを堪能した悪党というわけである。
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