2013年1月アーカイブ

カントの図式論は、感覚に与えられた個別的な像と知性の一般的な概念を媒介する論理である。感覚に与えられた個別的な像は、それだけを取って見れば、多様で混沌としているばかりであり、その中には何らの秩序はない。そこに秩序をもたらし、混沌とした感覚内容に論理的で明晰な形を与えるのは純粋知性概念としてのカテゴリーである。しかし、カテゴリーと個別の感覚とは、無媒介に結びつくことはできない。そこで、この両者を媒介する第三のものとして、図式と言うものが登場するわけなのだ。
谷崎潤一郎の小説「痴人の愛」のすごさというか迫力の源泉は、その独自の言語空間ともいうべきものに由来している。谷崎はこの小説において、語り方としては一人称形式を用い、語られる内容には性的言語を多用した。そこから、主人公の主観的な意識を通じて展開されるお話の世界が、それでなくとも融通無碍な性格を帯びがちなところに、性的言語が氾濫することによって、非日常的で祝祭的な雰囲気さえ帯びるようになる。谷崎は、彼独自の言語空間をうまく活用することで、この小説の表現しようと意図するところの倒錯的な世界を、じめじめした陰鬱なものとしてではなく、明るく祝祭的なものとして描き出しているのである。
豊下楢彦氏は、安保条約の成立に昭和天皇が強い役割を果たしたことを強調しているが、昭和天皇はそれ以外の面でも、政治的にみて非常にきわどい言動をされていたと批判している。きわどいというのは、天皇はアジア・太平洋戦争の最高責任者として言動を慎まなければならない立場にあり、しかも新憲法によって象徴とされて後は、一切の政治的立場から中立であることを求められていたにかかわらず、極めて政治的な言動をやめなかったからだ、というのである。

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山田洋次監督作の映画「東京家族」を見た。この映画を山田監督は、おととし(2011年)の秋に公開する予定で準備を進めていたところ、3.11が起きた。そこで、3.11に何も触れないまま映画作りを進めてしまったら悔いを残すことになるだろうと考えた監督は、いったん映画作りを中断し、シナリオを書き直し、キャストも変更して、改めて映画作りをした。その結果がこの「東京家族」となった。

アルブレヒト・デューラー(Albrecht Dürer)は1471年にドイツ南部の都市ニュルンベルグに生まれた。父親(やはりアルブレヒトといった)は金細工師で、デューラーが生まれたとき42歳であった。母親のバルバラはまだ19歳で、デューラーは三番目の子であった。バルバラは、デューラーを生んだ後も15人の子を産み続け、併せて18人を生んだのだが、そのうち成人したのはわずかに3人であった。デューラーの時代には、死が猛威を振るっていたのである。

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筆者にとってのアルチュール・ランボーは、少年詩人としてのランボーだった。彼がまだ十代の若さで詩を作ることをやめ、忽然と姿をくらました後のことについては、殆ど何も知らなかった。三十七歳になった彼が、マルセーユの病院で片足を切断され、それから間もなく死んだということは知っていたが、彼が詩を捨ててから命を失うまでの間に、どんな生き方をしていたかは、ほとんど知らなかったのだ。

入蜀記によれば、陸游は六月二十六日に鎮江で大きな船に乗り換え、そこから夔州をめざして長江を遡った。船は帆を張らず、櫂と引き綱とで、つまり人力で進んだとある。百丈と呼ばれる引き綱は、男の腕程の太さがあり、それを両岸の人夫たちが引いた。人夫はみな四川の者だったらしい。
あひるの仲間たちと新年会を催した。場所は昨年同様新宿西口の海鮮酒場「三代目網元」。参加したのは、ミーさんあひる、オーさんあひる、しずちゃんあひる、よこちゃんあひる、いまちゃんあひる、それに今年は珍しくあんちゃんあひるも参加した。あんちゃんあひるが加わるのは七、八年ぶりのことだ。少尉あひるは体調を崩したと言って参加しなかった。
アベノミクスが一定の効果を現しているらしく、円安株高が進んでいる。特に円安は目覚ましく、安倍政権発足時に70円台後半だったものが、90円を超える水準まで進んだ。円安は当然輸出に有利に働くので、この傾向が定着すれば、日本経済にとって好ましい状況が期待できる。株高とダブルで進めばいうことはない。

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銀座の一角、数寄屋橋交差点の近くに小学校がある。泰明小学校だ。東京の小学校の中でも伝統のある学校で、卒業生には嶋崎藤村や北村透谷などがいる。開校したのは明治12年のことだが、現在立っている校舎は昭和4年に建てられた。いわゆる震災復興学校といわれるものの一つだ。隣接する数寄屋橋公園は、避難場所として整備されたものだ。

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昼食を食べ終わった後、箱根神社にお参りしようということになった。新年会を兼ねた旅行だから、初詣気分の延長だったのかもしれない。

安倍政権はいわゆるアベノミクスの一環として手厚い公共事業を補正予算案に組み込んだばかりだが、今度は税制面で、公共事業を推進する体制を整えた。麻生政権時代に一般財源化された自動車関係税を、道路特定財源として復活させようというものだ。こうした動きに対しては、古い自民党への先祖がえりだとする批判もなされているが、安倍自民党政権は、そんな批判などどこ吹く風だ。風を吹き流して昔の土建国家日本をとりもどそう、それこそが「ウチュクシー日本」づくりへの早道だ、といわんばかりだ。
アプリオリとアポステリオリという一対の概念はカント哲学の基礎をなす重要な装置というべきものである。カントの基本的な問題意識は、人間の経験に必然性と普遍性を保証するものはなにかということであったが、それをときあかす鍵として、アプリオリとアポステリオリの相互関係というアイデアを思い付いたのだといえる。

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未明隣室より漏れ聞こえてくる熟女たちの話声で目をさます。そのまましばらく布団のなかで温もっていたが、やおら飛び出すと浴衣姿で浴場に行き、湯につかった後髭を剃った。昨夜とは男女所を入れ替えてあったので、婦人用の小さな浴室だったが、これが四十二度のお湯しかないとあって、体が十分に暖まらない。中途半端な温まりようで部屋に戻り、テレビなどを見ているうちに、M女が食事の用意ができましたよと言って迎えに来た。

いま労働市場のあり方を巡って「ブラック企業」ということばが注目を集めているそうだ。「若手社員を大量に使いつぶす新手の悪質企業」のことを指すという。そういう企業は、若者が就職難に苦しむ現状を悪用して、若手正社員を大量に採用しては、大量に使い捨てるのだという。

痴人の愛

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谷崎潤一郎の小説「痴人の愛」を、筆者が初めて読んだのは高校生の時だったこと、その時には何とも嫌な気分になって、それがきっかけで、谷崎作品に先入見のようなものを感じるようになった次第については、先稿で書いたとおりである。この小説の何が、思春期の筆者をして拒絶反応を引き起こさせたのか。老人となった今、この小説を読み返して、改めて考えてみた。

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投宿先は大和屋といって、宮ノ下温泉の一角にあるが、これが簡単にはたどり着けないようになっている。渓流の流れている谷間の底にあって、そこに行くには温泉街の道端からゴンドラに乗って下りて行かなければならないのだ。そのゴンドラというのが、いかにも頼りなげで、いつ落ちても不思議ではないといった代物なのだった。我々はそのゴンドラに恐る恐る揺られながら、旅館のある谷底へと降りて行った次第であった。

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スタートした社会保障改革国民会議の席上、麻生太郎副総理が終末期医療について意見を述べた中で、「さっさと死ねるようにしてもらうとか、いろんなことを考えなければいけない」などと発言したそうだ。麻生さんはまた、終末期の患者を「チューブの人間」と表現し、「私は遺書を書いて、そういうことはしてもらう必要がない。さっさと死ぬから、と書いて渡してある・・・いい加減死にてえなあと思っても、とにかく生きられますから、なんて生かされたんじゃかなわない。しかも、その金が政府のお金でやってもらっているなんて思うと、ますます寝覚めが悪い」といったそうだ。

現行の日米安保条約は、まがりなりにも平等な二国間の対等な軍事同盟という体裁をとっている。これが締結されたのは1960年のことだが、それは1952年に締結されていた日米安保条約(旧安保条約)を改定する形で行われたものだ。改定の際の名目は、それまで片務的だった条約の精神を、双務的なものに改めようというものだった。旧安保条約は、誰が条文を読んでも、平等な二国間の関係とはとてもいえないほど、不平等であり、日本の側から見れば屈辱的な内容のものだったわけである。では何故日本側は、そんな屈辱的な条約を結ぶに至ったのか。その謎について、国際政治学者の豊下楢彦氏が綿密な考察を加えている。(豊下楢彦「安保条約の成立」~吉田外交と天皇外交、岩波新書)

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豊穣たる熟女たちとともに、新年会を兼ねて箱根に一泊旅行をした。宮ノ下の堂ヶ島温泉というところに宿をとり、ロープウェーに乗って芦ノ湖まで足を延ばし、できれば旧街道を歩きたいなどと、なかなか欲張りな計画を立てたのだったが、あいにく旅の直前に大雪が降って、とても登山道を歩く騒ぎではないということなので、出来る範囲で、無理なく歩こうという心つもりで出発した次第だった。

民主党政権時代に行われた所謂事業仕訳は、法的拘束力を伴わず、また短時間で性急に行われたとの批判もあったが、行政の無駄に切り込むという点では一定の効果があったといえよう。ところが、民主党から自民党への政権交代に伴って、事業仕訳で廃止された事業が続々と復活しているらしい。それも、きちんとした再点検なしに、ずるずるとなし崩し的に。
アルブレヒト・デューラー(Albrecht Dürer 1471-1528)は、ドイツの美術史に屹立する巨人であるばかりでなく、ヨーロッパの絵画史においてもユニークな地位を占めている。

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大鵬と言えば、筆者のような団塊の世代の日本人にとっては、少年時代の憧れの力士だった。12勝3敗の好成績で衝撃的なデビューをしたのが昭和35年の初場所。そのとき筆者は小学校の五年生だったが、彗星のように現れたこの力士に日本中が盛り上がったのを覚えている。その後順調に出世を重ね、柏戸とともに相撲界をリード、柏鵬時代と言われる相撲の黄金時代を演出し、自身三十二回の優勝を達成した。この記録はいまだに破られていない大記録だ。いかに偉大な横綱だったかが良くわかろうというものだ。

 あれからもう、六年がたった。このことはまだ、誰にも話したことがないんだ。友達は僕が戻ってきたことを喜んでくれたよ。僕は、悲しかったけれど、友達には「疲れた」って、いってたんだ。
乾道五年(1169)十二月に夔州(四川省東部)通判に任命された陸游は、翌乾道六年閏五月に郷里の紹興を立ち、同年十月に夔州に到着した。その時の旅の様子を、陸游は「入蜀記」と題する紀行文に残した。中国の紀行文学の傑作と言われるものである。

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これは、新しい東京駅の北口を描いたものだ。かつて、改装前の東京駅を全く同じ角度から描いたことがあった。それと見比べると、どこがどのように変ったのかがよくわかる。

人間の認識は感性と知性の協働によって成り立っている。感性によって対象が現象として与えられ、知性によって現象が概念的に認識される。その関係をカントは次のようにいう。「感性なしでは対象が与えられないし、知性なしでは対象を思考することができない。内容のない思考は空虚であり、概念のない直観は盲目である」(中山元訳「純粋理性批判」超越論的な論理学)
永井荷風といえば、いまでは「断腸亭日常」や「日和下駄」などを通じて、日記作者あるいは東京散策の案内者といったイメージが強いが、かつては偉大な小説家として、日本文学史に屹立する大作家だった。そんな荷風の小説家としての業績を、その生涯の足跡と照らし合わせながら読み解いたものに、野口富士男の「我が荷風」がある。これは、荷風の文人としての全体像に迫ろうとするもので、筆者のような荷風ファンにとっては、非常に裨益されるところの多い研究である。
ノーベル経済学賞受賞者のポール・クルーグマン教授が、ニューヨーク・タイムズのコラムの中で、いわゆるアベノミクスを積極的に評価している。欧米の先進国が中途半端な経済政策のためになかなか不況から脱出できていないなかで、安倍氏の打ち出した政策には十分な効果が期待できるというのだ。その政策とは、果敢な財政出動とインフレターゲットの組み合わせ。どちらもクルーグマン教授が日頃力説しているものだ。(Japan Steps Out By Paul Krugman)
雑誌「世界」に連載中の「中国民間との対話」最終回で、精華大学教授秦暉氏が、中国を「負福祉国家」だといっている。負福祉とは、福祉政策が不平等をさらに拡大させることをいうらしい。低福祉やゼロ福祉と言う言葉は聞いたことがあるが、マイナス福祉と言う言葉は聞いたことがない。そんな概念が成立しうるというところに、今日の中国が抱えている深刻な問題があるようだ。
保守本流という言葉は、いまでは殆ど使われなくなったが、一時期は、戦後自民党政治の中核的概念を指す言葉としてよく使われたものだ。果してそれがどんな内包を持っていたのか、歴史学者の中村正則は、次のように概括している。

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今年のMLBにはホール・オヴ・フェイマーが一人も誕生しなかった。1996年以来のことだという。1996年の場合には大物がいなかったという事情があったようだが、今回は違う。文句ない大記録を打ち立てたあのバリー・ボンズとロジャー・クレメンスが選出対象になったにもかかわらず、彼等も基準を満たす投票数が得られなかったのだ。それだけではない、マーク・マグワイアやサミー・ソーサといった大物も、いまだ選ばれれてはいない。いわゆるドーピング問題が彼らの頭上に漂っているせいだ。

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十字架を担うキリストの像を、ボスは少なくとも3点描いているが、その最後のものがこの絵である。ボスの最高傑作と言ってよい。

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ホビットといえば、児童文学の傑作だ。筆者も昔読んだことがある。それが三部作として映画化され、その第一部「思いがけない冒険」が上映されるとあって、早速見に行った。非常に面白かった。

「もう一度、君の笑い声を聞きたい」と僕がいうと、王子は答えて言った。
「今夜で、ちょうど一年なんだ。今夜はぼくの星が、ぼくが地球に落ちてきた場所の真上にくるんだ。
「ねえ、蛇のことも、待ち合わせのことも、星のことも、夢の中の出来事なんじゃない?」
 王子は、この質問には直接答えないで、こう言った。
「大事なことは、目では見えないんだ」

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 井戸のそばに、石でできた古い壁の廃墟があったんだ。次の日の夕方、飛行機のところから戻ってくると、王子がその壁の上に、脚を垂らして座ってるのが見えた。何かを話してるみたいだった。
「覚えてないの?」と王子は言った。「ここじゃ、ないよ」
 誰かが答えたようだった。王子はそれに反論したんだ。
「わたったよ、その日だってことは。でも、それはここでじゃないんだ」

隆興元年(1163)五月に鎮江府通判に任命されて陸游は翌二年に当地に着任したが、その翌年乾道元年(1165)七月には隆興府(江西省南昌)通判に転任し、同二年(1166)四月にはついに職を免ぜられ、郷里の紹興西郊に新築した家に引きこもることになった。それ以降、乾道六年(1170)閏五月に新任地夔州(四川省)に向けて出発するまでの4年ほどのあいだ、陸游は浪人生活を送った。

森元首相が安倍総理大臣の特使として二月にロシアを訪問し、北方領土問題についてプーチン大統領と会談することになった。そのことをとりあげた先日のテレビ番組の中で、交渉に臨む基本姿勢を聞かれた元首相は、三島返還で決着をつけたい旨の発言をしたと伝わった。驚いた筆者は、発言の真意を確かめようとしてメディアソースに当たって見たが、どうも要領をえない。あるメディアは、択捉島はあきらめて、国後、歯舞、色丹の三島だけの返還で幕を引くという意味だと伝えているのに対して、他のメディアは、当面この三島の先行返還を進め、択捉島については継続交渉するという意味だと伝えている。肝心なことが、我々一般国民に正確に伝わっていないのだ。

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澳門の歴史市街地区にある建物の中でもっとも美しいとされるのが、この聖ドミニク教会だ。ポルトガル風のファサードがチャームポイントになっている。

人間が認識しているのは現象であって、現象の背後にある物自体ではない。物自体そのものは認識できない。これは哲学史上「カントの物自体」として有名になったテーゼである。カントはこのテーゼを次のようにわかりやすく書いている。

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この数年間における惑星発見のスピードには著しいものがある。当初は新しい発見があるたびにビッグニュースになったが、最近はそうでもなくなった。と言うのも、惑星と言うものは、当初考えられていたほどに珍しいものではなく、我々の天の川銀河に限っても夥しい数の惑星の存在が明らかになってきたからだ。一番最近の研究は、天の川銀河には数百億、最大1千億の惑星が存在することを突き止め、そのうちの100億以上が地球と同じような岩石型の惑星であるということを明らかにした。

新藤兼人が荷風の日記に接したのは「罹災日録」が最初だったそうだ。もともと荷風の日記に大した興味を持っていたわけではなかったが、これを読んで偏奇館焼亡やその後の放浪、また折に触れて吐露する戦争についての考え方などを通じて、荷風という人間に非常な興味を覚えるようになり、それがもとで彼の日記断腸亭日乗全巻を繰り返し読むようなマニアになってしまった。ただ単にマニアの読者たるにとどまらず、断腸亭日乗をもとにして一本の映画を作るまでに至った。
1960年代の日本は世界史に例を見ないような高度経済成長を遂げた。その結果、戦後の焼け野原から再出発した日本は、短期間で世界第二位の経済大国に成長した。そんな1960年代を、日本近現代史学者の中村正則氏は、高度成長の立役者であった下村治の言葉を借りて、「歴史的勃興期」と呼んだ。まさに歴史を画するような異様な雰囲気に満ちた10年間だったといいたのだろう。(中村政則「戦後史」岩波新書)

八重の桜

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會津の女傑として知られる山本八重の生涯をテーマにしたNHKの大河ドラマ「八重の桜」が始まった。筆者はかねてから期待していたので早速見た次第だ。初回早々に會津城攻防の場面が出てきて、男装した八重が鉄砲を撃つシーンもあったりして、この先なかなか面白くなりそうなことを予感させた。

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「聖アントニウスの誘惑」の右翼画は、美女に化けた悪魔が聖アントニウスを誘惑するシーンを描いている。木のウロから裸体をむき出した女が聖アントニウスに向かって、ウロの中に入って来るように誘っている。木の上には赤い布がかぶせられ、その脇では魔女が化け物に酒を注いでいるが、これは愛の館のパロディなのである。

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築地の初セリが行われ、227キロの青森県大間産まぐろ一本がなんと1億5500万円で落札されたそうだ。昨年は一本5600万円の高値を記録し世間をあっといわせたところだが、今年は一気にその三倍を記録したわけだ。

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安倍内閣の顔ぶれを見ると、党の重鎮や中堅を交え、実務能力に配慮した安定感のある布陣だというイメージを与えている。5年前に内閣を組んだときには、自分に近い者で固めて「お友達内閣」などと批判された。今回はそのことを教訓にして、少しでも国民の支持を得られるような内閣を作りたい、という安倍さんの気持ちが伝わってくる。

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「人間て」と王子は言った。「列車に乗り込んでも、何を探しにいくのか、わかってないんだ。ただ無闇に、騒ぎ回ってるだけなんだ」
 そうして、こう付け加えた。
「てんで、無意味だよ・・・」

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巨大な鼻で知られるフランス人俳優ジェラール・ドパルデュー(Gérard Depardieu)氏が、このたびロシアの国籍を取得し、晴れてロシア人になることができたそうだ。これで、フランスの高い税金から逃れて、稼いだ金を存分に自分のために使うことができる。氏はそういって、ロシア人になれたことを喜んでいるという。

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長崎が、香港、モナコとともに世界新三大夜景に選ばれたことで、多くの観光客が長崎を訪れているそうだ。筆者も、稲佐山の上から長崎の夜景を眺めたことがあるが、山と海をバックに広がる市街地の夜景が何とも印象的だったのを覚えている。

隆興元年(1163)、陸游は政事堂に召され、機密文書二通の作成を命じられた。いずれも金との戦争に深くかかわるものであった。一つは、西夏の国主に贈る書簡であって、宋と協力して金を亡ぼそうと呼びかける内容であった。

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この正月、香港では、香港政府のトップで親中派の梁振英(Leung Chun-ying)行政長官の辞職と民主主義の拡大を求める大規模な抗議デモが行われた。デモの発端となったのは、梁振英氏が建築法規に違反して自宅を増築したことが発覚したことだった。半年前に行われた長官選出選挙の際には、自分自身が対立候補の違法建築の事実を厳しく批判していただけに、その無節操ぶりが香港市民の怒りを買った形だ。

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澳門の旧市街には古い建築物が集まっていて、世界遺産に登録されているものもいくつかある。その旧市街の中心部がセナド広場。広場を囲んで様々な建物が並んでいるが、これは民生総署といって、ポルトガルの澳門支配の拠点となった役所だ。

ロシアの著名なジャーナリストであるヴラヂーミル・ポズネル氏がロシア国営テレビ・チェンネルワンのバラエティ番組の中で口を滑らし、ロシア下院(Duma)は阿呆(Dura)の集団だと言ったところ、当のドゥーマのメンバーが早速反応して、超党派で氏を非難する声明を発表した。その声明の中には、ロシアを侮辱する外国籍のジャーナリストは国営テレビ局から追放されるべきだともあった。氏は、ロシア国籍のほか、アメリカ、フランスの国籍も取得している。
空間と時間という観念を、感覚の対象が備え持つ属性としてではなく、したがって経験を通して得られる客観的な観念としてではなく、人間の感性にそなわった主観的な形式であると主張したのは、哲学史上カントが最初だった。無論極端な観念論者の中には、感覚の対象全体に客観性を認めず、単なる意識の創造物だと主張するバークリーのような哲学者もいたにはいたが、その場合、客観性を否定されるのは感覚の対象全般であって、そのごたまぜの中に空間と時間も含まれていたにすぎない。空間と時間を特定して、それを主観的な形式だと喝破したのは、やはりカントが初めてだといってよい。

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日本の自治体にはアメリカ型の大統領制が採用されているというふうに、一般的には理解されているので、アメリカの統治システムは、日本の自治体のそれに似ているのだろうと思いがちだが、実はこの二つは重大な点で異なっている。ひとつは、日本では議会が首長を不信任でき、これに対して首長は議会を解散できるのに対して、アメリカの場合には、両者は相互に不信任することができず、あくまでもそれぞれ法定の任期を全うすることになっていること。もう一つは、日本の首長には議案の提出権があるのに対して、アメリカの場合には、法案を提出できるのは議会だけであり、大統領は法案に賛成できない時には、拒否権を発動しうること。この二点である。

新藤兼人監督には「墨東綺譚」という作品がある。筆者も見たことがある。津川雅彦扮する主人公に荷風の面影を見、その主人公の女性遍歴を透かして、荷風が生きた時代の雰囲気の一端を感じた気になったものだった。

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所謂財政の崖(Fiscal Cliff:増税と政府歳出カットのダブルパンチ)を巡って交渉を続けてきたオバマ大統領と議会との間で妥協が成立し、最悪の事態は回避されたと伝えられた。それにしても、きわどい妥協だった。崖の裂け目が開く日の前日の、それも夜に入ってからのことだ。まず上院で可決し、下院ではその翌日以降に採決される見通しだという。法案の取り扱いをめぐって、大統領と議会がこれほど鋭く対立したのは、近年まれなことだ。

福島の原発事故をきっかけにして反原発運動が盛り上がり、首相官邸を囲んでデモが行われるなど、日本人が久しぶりに街頭に出る動きが見られた。これをとらえて、アラブの春やアメリカの「ウォールストリート占拠」運動と同じような民衆の意思表示だと見るものもいた。実際、一時期は万単位の人々がデモに加わり、大いに盛り上がりを見せたものだったが、いつとはなく尻すぼみになっていったようだ。

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毎年元日にはその年の干支を水彩画で描いてホームページにアップするのが習わしになっているので、今年もその例に従いやってみた。今年の干支は蛇である。蛇と言うのは、形からして絵になりにくい。だから敢えて絵にしようと思うと、このように多少の工夫をしなければならない。その工夫が果して実を結んだかどうか、その評価は読者にお任せしたい。

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