2013年2月アーカイブ
エル・グレコ展が上野の都立美術館で開かれているというので見に行った。この美術館は老朽化のため改修工事が施され、昨年その工事が終わったばかりだそうだ。改修だから外観はそっくりそのまま引き継がれている。
テキサス州選出の共和党上院議員テッド・クルーズ(Ted Cruz)の極右的なパフォーマンスが話題になっているが、先日は同じ共和党員でありながら、オバマ政権の国防長官に指名されたチャック・ヘーゲル(Chuck Hagel)に対して、公聴会の席上、彼の思想信条を巡って露骨な非難を繰り広げた。それがあまりにも異常だったので、共和党の同僚でさえ「はめを外している(out of bounds)」と批判したそうだが、雑誌ニューヨーカーの人気記者ジェーン・メアー(Jane Mayer)は、クルーズをかつての反共チャンピオン、ジョゼフ・マッカーシーに譬え、その姿勢に警鐘をならす一文をニューヨーカー誌上に投稿した。
ワシントン・ポストによれば、今ロシアではメドヴェージェフを標的にした侮辱や排撃のキャンペーンが流行っているそうだ。そしてそうしたキャンペーンを、プーチンは黙認しているという。そればかりか、プーチン自身メドヴェージェフを露骨に避けているともいう。これは、メドヴェージェフ失脚の予兆ではないか、というのである。この二人はつい最近まで大統領と首相を二人三脚のように努めており、いまはその役割を取り換えた状態で、双頭体制を継続しているわけだが、そこにひびが入りつつあるということらしい。
晩年のデューラーは公開を前提とした自画像を描くことはなかったが、自分自身のスケッチはいくつか残している。これは、鏡に映った自分の裸体を描いたスケッチである。(1505年、紙にペンと筆、29.2×15.4cm、ワイマール、シュロス博物館)
増上寺を辞去した後、マラソンの様子を見ながら日比谷通りを新橋方面に歩いていったら環状2号線(通称マッカーサー道路)整備用地との交差点に差し掛かった。そこから虎の門方向を見ると、写真のような高層ビルが建ちあがりつつあるのが見えた。この道路は再開発手法で計画されているのだが、その中核となるのがこのビルだ。
東京を描く市民の会の月例スケッチが芝増上寺で開催されるというので、集合時間の10時前に現地に出かけてみた。浅草線の大門駅で降りて、途中町の風景をカメラに収めながら解脱門に近づいていくと、何やら変った雰囲気が立ち込めている。聞けば東京マラソンが開催中で、解脱門の前の日比谷通りがそのコースになっているせいで、大勢の人が応援に駆け付けているのだという。筆者が解脱門の前にたどりついたのは、9時45分頃だったが、その時にはすでに、車椅子マラソンの先頭グループが折り返し点から戻ってきて、浅草方面に向かって疾走しているところだった。やがて、招待選手らからなる先頭集団が大きな塊となって通り過ぎて行った。
エミリー・ディキンソンの詩から「醸されていない酒(I taste a liquor never brewed)」(壺齋散人訳)
醸されてもいない酒を
真珠をくりぬいたジョッキで飲む
ラインの酒樽の中にさえ
こんな上等なアルコールはない
シリアの内戦が泥沼化し、国家の崩壊が懸念されるようになってきた。これまでに死んだ人の数は7万人以上(一説には9万人以上)、行方不明者は数万人、アサド政権により拘束されている反体制派の国民は15万~20万人ともいわれる。また200万人が家を失い、国境を超えて亡命したものは100万人以上に上るという。まさに国としての体裁を失いつつあるといえる。
安達が原の人食い鬼伝説を能にしたものを、観世流では「安達が原」といい、他の流派では「黒塚」という。両者をあわせると「安達が原の黒塚」となり、鬼の住処を表すというわけである。しかし伝説と言っても、古来あったものではなく、能が先にあって、其れが民間に広まったということらしい。
1500年の年紀が記されたこの自画像は、デューラーが油彩で描いた最後の自画像である。そのすさまじいまでの迫力から、西洋絵画史上自画像の最高傑作とも呼ばれ、また、そこに込められた絵画外の意味についての様々な憶測を呼んできた。
エミリー・ディキンソンの詩から「手負いの鹿(A Wounded deer leaps highest)」(壺齋散人訳)
手負いの鹿こそ最も高く飛び上がると
猟師が話すのを聞いたことがある
それは断末魔の痙攣なのだ
それを草むらが静かに受け止めるのだ
昨日(2月14日)ロシア中部チェリャビンスク付近に落ちた隕石は実は小惑星だった。NASAの分析によれば、この小惑星は直径が17メートル、重さが約1万トンあった。これだけ大きいから破壊力も相当なもので、地上20キロメートルで爆発した時点では、広島型原発の30倍に相当する500キロトンのエネルギー量を持っていたらしい。このエネルギーによって巨大な衝撃波が発生し、それが広範囲にわたる被害をもたらした。人的被害は千数百人規模に達するという。
ロシア時間の2月15日朝(日本でも今日の午前中)、ロシア中部上空で隕石が爆発して多数の破片が飛び散り、数百人の人々が怪我をするという事態がおこった。ロシアのメディアによれば、ロシア中部チェリャビンスクの上空で、何らかの物体が爆発して破片が飛び散ったり、爆風が発生してガラス窓を割ったりして、数か所で被害がでたという。
政府の規制改革会議なるものが、今後検討すべき課題として約70項目をあげたそうだ。新聞報道によれば、その中には保険診療と自由診療との混合診療の拡大や、解雇規制の柔軟化なども含まれているそうだ。安倍政権の市場原理主義的な面が浮かび上がりつつあるといったところか。
能「春日龍神」は、春日神社の龍神の口を通して、天竺の仏より日本の神の方が御威光があると、国粋主義的な主張を述べ立てたものである。すなわち、入唐渡天の志を抱いた明恵上人が春日神社にいとまごいにやってくると、宮森に化けた龍神が現れ、上人に入唐渡天の志を思いとどまらせようとする。その理由として龍神は、仏在世のときなら渡天の御利益もあっただろうが、仏が入滅したいまでは、この春日山こそが霊鷲山であり、春日野は鹿野苑、比叡山は天台山、吉野・筑波は五台山をうつしたものだからという。そして、入唐渡天を思いとどまるならば、自分が仏法の眷属を引き連れて、釈迦の誕生から入滅までの一代記を見せてやろうと約束する。
レスリングといえば第一回目のオリンピックから演じられてきたもっとも伝統ある競技だ。なにしろギリシャ・オリンピックの時代から主要な競技種目であったわけだから、その伝統には悠久の歴史を感じさせるものがある。ところがこの伝統ある競技が、2020年の大会から除外される可能性が出てきた。
今年(2013)71歳になるポール・マッカートニーが最新アルバム Kisses on the bottom でグラミー賞を受賞した。これまでに数えきれないほどの賞をもらい、メダルやトロフィーをキャビネットに収めきれないというポールだが、やはり新しい賞を貰えばうれしいという。
丸山真男のこの小文は、佐久間象山の故郷松代市で催された講演会での話の内容を文書にしたものである。佐久間象山について話をしてほしいと頼まれて話したわけだから、自分から積極的にテーマに選んだのではないといっているのだが、それにしては深く掘り下げた議論が展開されている。丸山自身、かねてから象山について深い関心を抱いていたことの現れなのだろう。
アルブレヒト・デューラーが20代の青年時代に描いた油彩の自画像が3点存在している。いずれも有名な作品だ。どの絵も、まるでお見合い写真のように着飾り、つんとすました表情の自分自身(デューラー)を描いている。自画像であるから、当時の事情からして公開を予想しておらず、あくまでも個人的な目的のために描かれたものと思われるのだが、それにしては随分と手が込んでいるとの印象を与える。
直径約45メートルの小惑星が、来週2月16日に地球に異常接近するという。この小惑星は2012DA14と呼ばれるもので、インド洋東部のスマトラ島上空を通過する際に、地球上空約2万7700キロメートルまで接近する見込みだそうだ。2万7700キロメートルと言えば、多くの通信衛星の軌道よりも内側にある。そこでこんなに接近して、衝突の恐れはないか心配になるところだが、カリフォルニア州ジェット推進研究所の専門家などによれば、地球に衝突することは勿論、地球の上空に浮かんでいる人工衛星にぶつかる可能性もないということだ。
エミリー・ディキンソンの詩から「成功(Success is counted sweetest)」(壺齋散人訳)
一度も成功したことのない人にこそ
成功はこの上なくすばらしく映る
喉の乾ききった人こそが
ネクタルのかけがいなさをわかるように
フクロウの首が自在に回転することは今までにも知られていた。最大270度の角度まで回転するそうだ。このことでフクロウの視野は広が
り、捕食や防衛の能力を拡大することができる。何故そんな能力が身に着いたのか。そのわけをアメリカ、ホンズ・ホプキンス大学の研究チームが解明した。
銀座八丁目の東側の路次の一角に絵のような建物が立っている。二階建ての低い建物で壁には一面蔦が絡まっているので、建物なのか、蔦のパフォーマンスなのか、一瞬何が何だかわからない気持ちに陥るが、これは古い歴史を持つバーなのだそうだ。その名はボルドー。蔦の間から、ボルドーの名を記した小さな表示板が覗いている。
尖閣をめぐる中国の挑発行為が次第にエスカレートしている。昨年12月13日に初めて領空侵犯して挑発の度合いが新たな段階に入ったことを感じさせたばかりだが、最近もっとゆゆしい事態が発生していたことがわかった。今年1月30日に、中国の軍艦が日本の海上自衛隊護衛艦に向けて射撃用の管制レーダーを照射していたというのだ。また1月19日にも、中国の軍艦が海上自衛隊のヘリコプターに向けてレーダー照射と疑われる行動をとったともいう。
デューラーは8歳にして自画像を描いたが、その作品は失われて伝わっていない。現存するもっとも古い自画像は13歳のときのものである。それでも、少年の描いたものとは思えぬほど、完成度の高い作品であり、デューラーの才能の早熟さを物語っている。(紙に銀筆画、27.5×19.6cm、ウィーン、アルベルティーナ美術館)
先日、人気ポップグループAKB48のメンバー峯岸みなみさんが坊主頭になって、なにかをしきりに謝罪している様子がテレビに映し出され、事情のわからない筆者などは実に異様に感じたものだ。謝罪の意思表示として頭を丸めることは、一部のマッチョの世界ではあると聞いていたが、まさか若い女性がそんなことをするとは思いもよらなかったからだ。女性が頭を丸めるのは出家するときだけで、それ以外のケースではありえないことだといってよい。そのありえないことが起きたわけだから、驚きも大きかったわけである。
小津安二郎の「東京物語」と山田洋次監督の「東京家族」を比較する視点のひとつとして東京の風景の移り変わりというものがあげられよう。東京物語のほうは昭和28年頃の東京が舞台であるから、その時点の東京の風景を当然映し出している。それを東京家族が映し出した現代の東京と比較すると、いろいろ興味深いことに気づくだろう。
山田洋次監督の「東京家族」を見たことがきっかけになって、そのもとになった小津安二郎の映画「東京物語」を見たくなり、さっそくDVDを取り寄せて、パソコンの画面で見た次第だ。この映画を最後に見たのはもう30年以上も前のことだから、細かいところは忘れてしまっていたが、大筋はまだ覚えていて、それが東京家族でもそのまま繰り返されているのが、改めてよくわかった。山田監督の小津作品への思い入れの深さがわかったといってもよい。
かつて描いた銀座一丁目通りの風景を、描きなおしてみた。ティファニーの入ったビルの周辺の様子を描いたものだ。ところが先日この界隈を歩いてみたら、この絵にあるのとは大分異なった光景が展開していた。ティファニーそのものはまだあるのだが、ビルの外壁のデザインがすっかり変わってしまっていたのだった。
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