(青蓮院不動明王図、絹の掛軸、203.3×148.8cm)
密教絵画では、曼荼羅図と並んで不動明王図が多く描かれた。不動明王は観音菩薩と並んで密教における最も重要な崇拝対象であるが、観音像が奈良時代以前から作られていたのに対し、平安時代になってあらわれたものである。彫刻の形のものと図に描かれたものとがある。図に描かれた場合には、炎を背景にして、剣と羂索を両手にそれぞれ持ち、憤怒の相を見せ、両側に矜羯羅、制吒迦の両童子を控えさせているというのが典型的なものだが、単身であったり、両童子を片側にまとめて描いていたりと、様々なバリエーションがある。
最近のコメント