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『心中天網島』('69日) 伝統と前衛、古典と実験が織り混ざった素晴らしい芸術作品です！ 近松門左衛門の同名の浄瑠璃作品を原作に、斬新な演出で映画化した大大傑作！篠田正浩監督が自身で立ち上げたプロダクションである表現社がATGと製作。詩人の富岡多恵子、音楽家の武満徹が共同脚本！ ＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊ 紙屋治兵衛は女房子供のある身でありながら遊女小春と深く馴染んでいた。ついには妻子を捨て小春と情死しようかという治兵衛の入れ込みように、兄の孫右衛門はこれを放っておくことができず武士のふりをして小春の本心を探りだす。小春の心変わりの言葉を盗み聞きした治兵衛は一度は心を改め忘れるよう努めるのだが・・・・ ＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊ 人形浄瑠璃の裏方である黒子が影のように画面に登場し、時に進行役、時に傍観者、時に死神かのように振る舞っていたり、大きな書や浮世絵が壁や床のセットに描かれていたりと、様々な実験的な演出がなされ、浄瑠璃や歌舞伎の雰囲気を色濃く漂わせています。 三味線やガムラン?のような音が効果的に使われ、引き算の効いたミニマルな音響もただならぬ雰囲気を醸し出しています。 若き岩下志麻が遊女小春と妻おさんの両役を演じている点も面白く、とくに小春の小さく白い顔は息を呑む美しさで実際人形のようにも見えてきます。歌舞伎役者二代目中村吉右衛門が演じる治兵衛とともに、最後の壮絶な自死のシーンまで緊張感の途切れない素晴らしい演技で見入ってしまいます。 国際的な評価も含めてもっと有名になっていい作品だと思います。 ＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊ レンタル落ちDVDです。 市販のケースに入れ替えておりますが、スレや色褪せ、ディスク面の細かいキズなど、多少の使用感はあります。再生確認済み。
