
「枢機卿と尼僧(Kardinal und Nonne)」と題されたこの絵は、シーレのカトリックへの反感を表現した作品といわれる。シーレは、クルマウでの迫害を経て、ノイレングバッハでは警察に拘留されたのだが、それは近隣住民の反発を受けたものだった。近隣住民は、シーレが未成年者にポルノまがいのことをさせていると言って糾弾したのだった。それがシーレにとっては、カトリックによる芸術の弾圧として受け取れた。オーストリアはカトリックの多い国柄で、性的なことについては非常に敏感である。まして子どもを巻き込む行動は許しがたいものであった。
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