
山本薩夫の1960年の映画「武器なき斗い」は、左翼代議士山本宣治の半生を描いた作品。半生といっても、大正十四年(1925)から、右翼に殺された昭和四年(1929)までの四年間をカバーしているだけなので、晩年を描いたといってよい。しかしこの四年間に、大学での弾圧にまきこまれて追放されたり、小作人の騒動にかかわったり、官憲の追跡を受けたり、また、昭和三年(1928)の第一回普通選挙に労農党から立候補して代議士になったりする。そのあげく、過激な行動を憎まれて右翼のテロリストに殺されるという、実に波乱に富んだ四年間だったのである。
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