
これは浄玻璃鏡に映った罪人たちの生前の所業を確認している閻魔大王の様子を描いたもの。先にとりあげた地獄極楽図のうち、閻魔大王と浄玻璃鏡をアップにして描いたものだ。
絵は、浄玻璃鏡に映った様子を見て驚いている閻魔の様子。ふつう浄玻璃鏡には罪人の生前の所業が映し出されるのだが、この人の場合には、普通の鏡のように、ありのままの姿がそのまま映し出されている。しかもその姿は合掌しているところなので、これでは罰することもできない。そんなわけで閻魔の顔には当惑の表情が浮かんでいる。暁斎がなぜこんな図柄を描いたか、その意図はよくわからない。
女性の背後には、閻魔庁の獄吏が罪人の髪をつかんで控えている。次に尋問されるのはこの罪人なのだろう。

これは、髪をつかまれた罪人の表情を拡大したもの。罪人の顔は青ざめて、首から下がなければ、先にとりあげた生首を思わせる。
(明治20年 絹本着色 35.3×52.0㎝ 個人コレクション)
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