映画を語る

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2003年の韓国映画「オールド・ボーイ」は、日本の漫画作品を映画化したもの。何者かによって誘拐され、15年間も監禁された男が、その理由を求めて奔走するという筋書きだ。

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「サマリア」では少女売春を、「うつせみ」では他人の家に勝手に住み着くヤドカリ人生を描いたキム・ギドクが、2012年の映画「嘆きのピエタ」では、消費者金融にからむあくどい取り立てをテーマに取り上げた。いずれも独特の社会的視点を感じさせるが、「嘆きのピエタ」もそうした社会的視線を強く感じさせる。この映画はヴェネツィアで金獅子賞を取ったが、韓国映画がいわゆる三大映画祭でグランプリをとるのはこれがはじめてのことだった。

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キム・ギドクの2004年の映画「うつせみ」は、台詞がほとんどなく、したがって無言劇を思わせるような映画である。時折台詞が入ることはあるが、それは周辺的な人物の口から、物語の進行上必要な説明として発せられるだけで、主人公の男女は一貫して言葉を発しない。それでいて、巧妙なゼスチャーが、言葉以上に雄弁に語りかけてくる。実験性の強い作品と言える。

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キム・ギドクの2004年の映画「サマリア」は、現代韓国社会の乱れた一面を描いている。テーマは女子高校生の売春と、娘の性行為を知った父親の苦悩というものだ。女子高生の売春は、援助交際という名称で、日本でも話題になったところだが、韓国でもそれなりに憂慮すべき事柄として捉えられているようだ。日本では、どんな形であれ売春は違法なので、それ自体が犯罪として検挙されるが、韓国では売春はかならずしも違法ではないという。女性を使役して売春させるのは違法だが、女性が自らの意志で売春するのは違法ではないらしい。この映画は、そうした韓国社会のルールを前提にして見ないと、わかりづらいところがある。

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イ・チャンドンの2002年の映画「オアシス」は、ヴェネツィア映画祭で銀熊賞を受賞した。韓国映画としては、メジャーな国際映画祭で受賞するのは初めてのことだった。これ以後、韓国映画は頻繁に受賞を重ね、国際的に認知されていくわけだが、この映画はその嚆矢となった作品である。

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イム・グオンテクの2002年の映画「酔画仙」は、李氏朝鮮末期に活躍した画家チャン・スンオプ(張承業)の生涯を描いた作品。チャン・スンオプは、朝鮮の絵画史を飾る大画家ということだ。孤児として育ち、まともな教育を受けなかったにかかわらず、歴史に残る大画家になったというので、韓国では人気のあるキャラクターだそうだ。そんなことからこの映画は、韓国では大ヒットになった。日本人にはその良さはなかなか伝わらないかもしれない。

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春香伝あるいは春香歌は、韓国の伝統芸能パンソリの人気演目で、18世紀頃から民衆に浸透し、20世にはたびたび映画化された。2000年にイム・グォンテクが映画化したものは、もっともよく作られており、カンヌではパルム・ドールにノミネートされたくらい質の高い作品である。

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イム・ギョンテクは韓国の溝口健二と呼ばれているそうだ。溝口健二には、日本映画の黎明期を代表した巨匠としての側面と、日本人の伝統的な心情をきめ細かく描いたという特徴を指摘できるが、イム・ギョンテクにも同じようなことがいえる。かれは韓国映画の黎明期を代表する監督と評価されており、その作風は韓国人の伝統的な心情をきめ細かく描くというものだ。

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マイク・リーの1996年の映画「秘密と嘘(Secrets & Lies)」は、現代イギリス人の家族関係の一面を描いた作品。この映画を見ると、イギリス人の家族は基本的に核家族であり、夫婦関係とか親子関係が非権威的だという印象を受ける。この映画にはもう一つ、人種問題というテーマがある。もし家族の一員に黒人が加わることになったら、イギリス人の家族はどう反応するか、それをこの映画は正面から描く。だから人種差別を考えさせる映画という言い方もできる。

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「アンナ・カレーニナ」は、トルストイの最高傑作であるのみならず、近代小説の手本とも言われた。たびたび映画化されている。イギリス人監督ジョー・ライトが2012年に作った作品は七作目ということだ。凝った演出で話題になった。画面のシーンを演劇の舞台のように見せる工夫がなされているので、観客はスクリーンに映し出された舞台を見せられているような気持になれる。

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マイク・リーによる2004年のイギリス映画「ヴェラ・ドレイク(Vera Drake)」は、堕胎をテーマにした作品である。イギリスでは、堕胎は19世紀の半ばに法律により刑事犯罪とされ、1967年に「妊娠中絶法」が制定されて、一定の条件のもとで中絶が認められるまで、厳しく処罰された。この映画は、1950年ごろのイギリスを舞台にして、堕胎の行為によって裁かれた一人の初老の女性を描いたものである。

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1986年のイギリス映画「ミッション(The Mission)」は、18世紀半ばごろの南米を舞台にして、原住民を相手に布教を行なうイエズス会の活動をからめながら、スペイン、ポルトガルの植民政策を強く批判した作品である。わざわざ歴史的な実話と断っているほどだから、この映画の作者が、スペイン人とポルトガル人に強い批判意識をもっていることがうかがえる。

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イギリスのBBCは2012年と2016年にわけて、シェイクスピアの一連の歴史劇をもとに七編のドラマを作り、「嘆きの王冠 ホロウ・クラウン」シリーズと題して放送した。また劇場用に作り直しもした。「リチャード三世」はその最後を飾る七編目の作品である。同名の歴史劇をほぼ忠実に映画化したものである。

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デヴィッド・リーンの1984年の映画「インドへの道(A Passage to India)」は、イギリスによるインド支配の一側面を描いた作品である。イギリス人は支配者としてインド人に君臨し、クラブと称する自分たちだけの閉鎖的な社交界を作ってインド人を蔑視している。そういう中にも良心的なイギリス人はいて、インド人に対して公平に接しようと考えている。そうしたさまざまな人々の生き方を通じて、植民地支配の問題を考えてもらおうという意図を感じさせる作品である。

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デヴィッド・リーンの1965年の映画「ドクトル・ジバゴ」は、ソ連の作家ボリス・パステルナークの同名の有名な小説を映画化したものである。この小説は、ソ連国内で発表できず、1957年にイタリアで発表されたのだが、早くもその翌年にノーベル賞を受賞した。それにソ連側が強く反発、パステルナークに圧力をかけて、受賞を辞退させたといういきさつがある。当時は東西冷戦の絶頂期で、互いに体制間競争をしていた時代なので、パステルナークのこの小説は、そうした政治的対立に巻き込まれたというわけである。

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アメリカの田舎者がヨーロッパの古都に「海外旅行」し、旅の恥の掛け捨てとばかり、さまざまな愉快な体験をするという趣向の映画が、戦後数多く作られた。「パリのアメリカ人」は、その典型的なものである。これは、第二次大戦中にヨーロッパ戦線で戦った米兵とその周囲の人たちが、戦争の思い出を含めて、ヨーロッパへのノスタルジーを掻き立てられたためであろうと思われる。

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ポン・ジュノの2019年の映画「パラサイト 半地下の家族」は、韓国映画としてははじめてカンヌのパルム・ドールをとったし、アカデミー賞のグランプリもとった。ポン・ジュノ自身は、すでに高い評価を得ていた映画人だが、この映画を通じて、韓国映画を国際レベルへ引き上げるとともに、自分自身も国際的な巨匠としての評価を勝ち取った。

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ポン・ジュノの2013年の映画「スノーピアサー」は、アクション仕立てのSF映画である。一応韓国映画ということになっているが、様々な国の俳優が演じ、言葉もさまざまである。というのもこの映画は、地球の破滅を生き残った人間たちの物語なのである。生き残った人間が一台の列車を拠点にして、地球をグルグル回っている、という想定だ。その生き残った人間は、さまざまな民族を集約しており、したがって多国籍な社会を構成しているわけである。

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ポン・ジュノンの2009年の映画「母なる証明」は、殺人罪で逮捕された息子の無罪を証明しようとする母親の必死の努力を描いたものだ。真犯人は誰か、をテーマとする点では、推理ドラマといってよい。推理ドラマは普通ドライなタッチで描かれるものだが、この映画の場合にはかなりウェットである。というのも、息子を溺愛する母親の、息子への愛が映画を推進する動力になっているからだ。

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ポン・ジュノの2006年の映画「グエムル-漢江の怪物」は、韓国版ゴジラといった作品だ。ゴジラの場合には、水爆実験の結果怪物が生まれ、それが人類に対して科学利用への反省をせまったものだが、この映画の場合には、化学物質による汚染で怪物が生まれ、それが人類に破壊的な攻撃を加えるというものだ。水爆実験はアメリカがやったことだったが、この映画の中でソウルの河川漢江を科学物質で汚染するのは在韓米軍ということになっている。ポン・ジュノには、在韓米軍に対する反感があるようだ。

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