人間の科学
NHKスペシャル「病の起源」第二集は脳卒中の特集だ。脳卒中は人類だけに見られる病だという。人類の兄弟分たるチンパンジーには、野生状態では見られない。ということは、これは人類が進化の代償として背負った病気の代表格ともいってよい。
NHKスペシャル「病の起源」第一集は「がん」の特集だ。がんは多細胞生物の宿命と言われており、人間以外の動物でもかかる。そのひとつの証拠として、1億5千万年前に生きていた恐竜の化石からもがんの痕跡が見つかった。しかしその発病率は、人類の場合飛躍的に高い。兄弟分のチンパンジーと比較しても、チンパンジーのがん死亡率が2パーセントなのに対して、人類(日本人)のそれは実に30パーセントである。何故、人間はこんなにもがんになりやすいのか。その秘密は人間の進化にある。人間は進化の代償としてがんになりやすい宿命を背負ったというのだ。
ガン、糖尿病、腰痛、アレルギーなど、人類は様々な病気に悩まされているが、こうした病気の中には、人類特有といえるものがある。たとえば腰痛。これは人類の兄弟分たるチンパンジーには殆ど見られないのに対して、人類では実に四人に三人の割合で悩んでいる。これは、人類が二足歩行したことによってもたらされたものだ。このように、人類の進化の代償としてもたらされた病気が沢山ある。そうした病気のメカニズムを解く学問を進化医学というが、この医学によって病気に新しい光があてられ、ついては今後の予防につながっていく可能性があるのではないか。そんな期待を込めて、NHKが進化医学の現状を紹介していた。NHKスペシャル「病の起源」シリーズがそれだ。その第一回目が先日(5月18日)の夜放送され、筆者は興味深く見た。
1991年にアルプス山中で発見され、これまで冷凍保存されてきたアイスマンのミイラが、初めて完全解凍された。その様子をNHKが放送していたのを興味深く見た。(NHKスペシャル:完全解凍!アイスマン~5000年前の男は語る~)
今年(2012)のノーベル賞医学・生理学賞が山中伸弥京都大学教授に贈られることとなった。共同受賞者であるイギリスのガードン博士とともに、細胞の初期化(Reprogramming)に関する研究が評価されたものだ。
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