経済学と世界経済

安倍政権が立ち上げた「国際金融経済分析会合」に、スティグリッツ博士に続いてハーヴァード大学のジョルゲンソン教授を招き発言させた。このジョルゲンソンなる人物のことを筆者は詳しくは知らないので、あまり突っ込んだことも言えないのだが、その発言を聞いた限りでは、どうやら市場原理主義者の類に属するようだ。今の時勢に、経済を活性化するために投資を拡大する必要があり、そのためには投資減税をする一方、財政規律を保つために消費増税をするべきだといっているところからそう判断される。

安倍政権が「国際金融経済分析会合」なるものを立ち上げ、それにノーベル経済学賞を受賞したスティグリッツ博士を呼んで意見を聞いた。この会合は、表向きは伊勢志摩サミットの準備のためのもので、今後の世界経済の動向を占うという意義を持たされているが、実は消費税増税の再延期のための布石ではないかとの見方がなされている。国内の議論だけではなく、国際的な議論をしたというお墨付きを得て、消費税増税再延期を理屈付けしようとしているのではないか、というわけである。とすれば安倍政権は、困ったときの神頼みではないが、ノーベル賞経済学者のブランドを利用して自分たちの思惑に箔をつけようとしていることになる。

安倍晋三総理が国会質疑の中で、GRIFの運用損が伝えられていることに関して、将来GRIFの運用が悪化すれば年金給付額が減額されることはありうると答えたそうだ。大方の日本人はこれを聞いて唖然としたのではないか。

年金積立金が巨額の運用損

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公的年金資金の運用を担う年金積立金管理運用独立行政法人(GRIF)が、今年7~9月のわずか三か月間で、約7.8兆円の損失を出したと発表した。積立金の総額は130兆円余りであるから、馬鹿にならない数字だ。こんな調子で損失が重なれば、どんな事態が待っているか。そんなに想像力を働かせなくともわかろうというものだ。

アベノミクスの中間成果

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上の図表は、日銀の公式データをもとに英誌エコノミストが作成したものである。2011年初頭以降の消費者物価の動きを表している。黒田体制になって以降上昇傾向を続けた消費者物価は、消費税が8パーセントに引き上げられた2014年4月に一気に上昇速度を速めた後、その年の夏をピークにして下落傾向に転じたことが読み取れる。だが、消費税アップによる影響を除けば、消費税のアップを境にして消費者物価が下落傾向に転じたということがわかる。黒田総裁は、就任時に約束した2パーセントのインフレ基調の実現を、当分先延ばしにせざるを得なくなっている。

ギリシャが国債の返還期限を前に資金の手当ての見込みが立たず、このままではデフォールトに陥る可能性が非常に高いと言って大騒ぎになっている。ギリシャの債権者であるIMFやECBなどは、デフォールトによって損失を蒙るのは債権者だけではなく、ギリシャ国民も困るのだから、ギリシャ国民はこれをもっと真剣に受け止めて、ユーロの差し出している再建プランを飲むべきだなどと主張しているが、果たしてそうだろうか。

中国が主導して世界各国に呼びかけていたアジア・インフラ投資銀行(AIIB)に、48カ国の国や地域が参加することになった。日米を除くほとんどの有力国とアジア諸国が参加する形だ。この構想を中国が打ち上げた時には、日米は冷ややかな視線を送り、色々な理屈を述べて、友好国に不参加を呼びかけていたが、結局その動きは無視され、主要国が雪崩を打って参加したわけだ。

家計貯蓄率がマイナスになる

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内閣府の発表によれば、2013年度の家計貯蓄率がマイナスになったという。統計を取り始めた1955年以来初めての事態だそうだ。日本と言えば、高い貯蓄率が経済成長を支えてきたことが売り物だったわけだが、いまやそうした事態は過去の神話になりつつあるのだろうか。

今年度のGDPが0.5パーセント減との政府見通しが発表された。消費増税による個人消費落ち込みが主な原因だ。一方、アベノミクスの恩恵を受けて、大企業の懐具合は好調だ。株高で投資家の懐も潤っている。ということは、資本収益率が上昇しているということだ。

トマ・ピケティの格差拡大論

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専門分野の学者としては異例の人気を誇るのがフランスの経済学者トマ・ピケティ。その主張の概要は、資本主義というものは基本的な傾向として、格差を拡大させることを本質としている、と主張していることだ。先年アメリカで起きた「ウォール・ストリート占拠運動」は、彼の説に鼓舞された部分が大きかったといわれる。そのピケティの講義の様子を、昨夜(一月九日)のNHKが伝えていた。それを見ると、ピケティの主張のあらましがよく伝わってくる。

「週刊東洋経済」の新年号に眼を通していたら、目先の景気動向についての予測と言うか、希望的な観測のようなものを、自称エコノミストたちがおしゃべりしている中で、辛口の予測を目にした。日本の首相安倍晋三は「日本を破滅させた男」として歴史に名を残すでしょう、というのだ。言っているのはジム・ロジャーズ。あのジョージ・ソロスと並んで著名な投資家として名を知られた人物だ。

膨らむアベバブル

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アベノミクスの浮かれ騒ぎに呼応するかのように、東京の株価も1万8千円の大台に乗った。その背景には、120円を突破した円安の動きがあることはいうまでもない。ともあれ安倍政権とその仲間たちは、この事態を以て、あたかも日本経済全体が好くなっているかのように言いふらしているが、果してそうか。筆者には、ただのバブルとしか見えない。

円高と輸出の相関

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上の表は、最近の円安と日本の輸出との相関関係をあらわしたものである(ソースは英誌 Economist)。2011年の末から今日まで、円安傾向はほぼ一貫して続いているのに対して、日本の輸出の伸びはかならずしもそれに比例して伸びていないことがわかる。名目の輸出額は伸びているが、実質輸出量は伸びておらず、2011年末を100とした実質輸出量は全く変わっていない。一方その間における円の相場は80円から110円へと、実に三割以上も下落している。

昨日(11月19日)は、所謂アベノミクスが、「アホノミクス」から「ドアホノミクス」に進化したとの、経済学者浜矩子女史の説を紹介したところだが、筆者自身が最近の「アベノミクス」に抱いている印象は、どうも統制経済を狙っているのではないか、というものだ。

アベノミクスの阿呆ぶりを称して「アホノミクス」と断じたのは、日頃率直な物言いで知られる経済学者の浜矩子女史だが、その女史が最近は「アホ」のうえに「ド」をつけて「ドアホノミクス」というようになった。その訳は二つあると女史は言う。一つは、「アベノミクス」が人間不在である点、もう一つは、アベノミクスがグローバルな経済環境と親和性が低く、このままでは日本の国民経済が消滅する恐れがあるという点だ。

マイナス成長は意外だった?

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昨日(11月17日)、7月~9月期のGDPの実質成長率が公表された。年率換算でマイナス1.6パーセント、二期連続のマイナス成長であり、日本経済が本格的な不況局面に入っていることを証拠立てた形だ。この結果株価は急落する一方、円安も進んだ。気味の悪い展開といえよう。

ポール・クルーグマンの日本への謝罪

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ポール・クルーグマンが、「日本への謝罪」へと題した小論をニューヨーク・タイムズに寄稿している。自分も含めて欧米のエコノミストたちは、この20年間の日本の経済的な失敗を嘲笑しつづけてきたが、もはやそんなことはしていられない。笑われるべきなのは、いまの我々欧米のエコノミストなのだ、という趣旨である。新味のある内容は殆どないが、何かの参考になると思われるので、引用しておきたい。

日銀は打ち出の小槌?

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日銀がこれまでにも増して大胆な量的緩和策を打ち出したと言うので、市場関係者の間でちょっとしたフィーバーになっている。折からアメリカのFRBが、量的緩和政策の打ちきりを発表したところだ。このタイミングでなぜ、日銀は追加の量的緩和に踏み切ったのか。黒田日銀総裁は、依然としてデフレ状況から抜け出せない日本経済を活性化させ、成長軌道に乗せることが目的だと、大見栄を切っているが、この言葉を額面通りに受け取る者は、余程の経済音痴というほかあるまい。

ドイツと日本の財政比較

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先日、ドイツが46年ぶりに無借金財政に戻ったということが話題になった。いわゆる経済アナリストの中には、これを日本と比較して、何故ドイツではできたことが日本では難しいのか、といった議論をする者もいた。そんなことは、別に経済アナリストたちの世話にならなくとも、わかりきったことだろう。ドイツには、財政が楽になるそれなりの事情が、日本には財政が苦しくなるそれなりの事情があるのだ。

クルーグマンとアベノミクス

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ポール・クルーグマンがアベノミクスを高く評価していることはよく知られている。アベノミクスとは周知のように、長州人安倍晋三の面目躍如たる三本の矢からなっている。大胆な金融緩和、積極的な財政出動そして成長戦略だ。このうちクルーグマンが評価するのは最初の二本の柱だ。それに対して三本目の柱は、クルーグマンではなく、クルーグマンの敵対者たるサプライサイド・エコノミストたちによって評価されている。ある種のねじれ現象を引き起こしているわけだ。

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