日本の政治と社会

昨日(12月4日)の菅首相の記者会見をテレビで見ていて、思わずのけぞってしまった。コロナワクチンの開発の目途が見えて来たことを踏まえて、取材記者が「いつ頃摂取できるようになるか」と聞いたところ、「現時点で政府から予断をもってその時期を明確にすることは控えたい」と答えたからだ。

学術会議の人事に菅首相が介入した問題をめぐって、政権側では問題をすり替えて学術会議への非難を繰り返し、それに呼応する形で自民党が学術会議の政府からの切り離しを言い始めた。いまの学術会議は、自民党政権に批判的だから、人事への介入を通り越して、いっそその存在を抹消してしまおうというわけだ。

菅首相が学術会議の委員6人の任命を拒否した問題が、大きな騒ぎになっている。雑誌「世界」の最近号も、この問題を特集した。寄せられた意見はおおむね批判的で、中には菅政権の体質にファシズムの匂いを嗅ぎつけるものもあるが、小生がもっとも腑に落ちたのは、片山善博氏の見解だ。片山氏は、この問題を大袈裟には見ずに、単に菅政権の単純な手落ちとして見ている。

昨夜のNHKのニュース番組(ニュースウォッチ9)が菅首相をスタジオに招いてインタビューを行った。この日、菅首相は国会ではじめて所信表明を行ったので、それを踏まえて首相としての抱負を聞きたいという趣旨だったようだ。ところが、所信表明自体が内容に乏しいものだったこともあり、また首相本人も国民に向って抱負を語りたがるタイプでもないようで、インタビューのやりとりは退屈極まりないものだった。それには、菅首相を怒らせないようにとのNHKの配慮を感じさせられたくらいだ。

福島第一原発の核汚染水がいよいよ溢れそうになるというので、海洋放出する方針を政府が固めたようだ。環境基準以下に薄めた上で放出するから、環境への影響は無視できるほど少ないと政府は言っているが、風評被害を恐れる漁業者は大反対している。じっさい、いくら薄めた所で、絶対量は変わらないので、長期的に見ればなんらかの影響は避けられない。しかし、そんな影響を気にしていたら、いつまでも問題は解決しないので、見切り発車で海に垂れ流してしまおうという政府の甘い判断が伝わって来る。

中国公船が尖閣周辺の日本領海への侵入を繰り返している。あきらかに日本政府への挑発だ。中国は、日本の政権に交代があるたびに、その対中姿勢を見定める動きをしてきた。安倍政権が八年近く続いたことで、その長い間、そうした動きは表面化しなかったのだが、今回菅政権にかわったことで、この政権の対中姿勢がどのようなものなのか、見定めようというわけだろう。

自民党衆議院議員杉田某女の女性差別発言を問題視した団体が、自民党に対して、議員辞職を求める署名を提出しようとしたところ、自民党を代表して応対した幹事長代行野田聖子女史が、受け取りを拒んだという。その理由が面白い。わたしには議員を辞職させる権能が備わっていないので、受け取るとることはできないというのだ。

かくも長い間続いた安倍政権は、大部分をスキャンダル処理に明け暮れ、腰を据えて政策を実現することはできなかった。特に政権後半期はひどく、スキャンダル処理に明け暮れたといってよいほどだ。その処理の仕方がうまかったのかどうか、安倍政権は何とか安泰をたもった。そして安倍総理が辞職した直後には、国民の間からごくろうさまといった声が聞えたくらいだ。

日本学術会議の人事をめぐって、法に基づき学術会議側から出された推薦名簿のうちから、六人の任命を菅首相が拒んだことで、大きな騒ぎになっている。まず、菅首相の任命拒否に法律違反の疑いがあることと、菅首相が任命拒否の理由を説明せず、問答無用の態度をとっていることが、物議のタネになっている。

ジャパンライフ事件はこの国の無軌道ぶりの一端を見せつけた。未曽有の規模の詐欺事件ということもあるが、時の権力者が、その詐欺に何らかの形でかかわったという嫌疑が広くいきわたり、国全体が詐欺劇場の観を呈したものだ。

雑誌「世界」の最近号(2020年10月号)が、「攻撃する自衛隊」と銘打って、最近の自民党政権による好戦的な傾向を分析している。その動きの象徴的なものは、イージス・アショアの配置を断念するかわりに、敵基地攻撃能力の獲得を追求しようというものだ。イージス・アショアはもともと、敵からのミサイル攻撃の防御を目的したもので、あくまでも自衛のための措置と言っていたものが、積極的に敵国の領土内の基地を攻撃しようというのは、先制攻撃の要素が強いというべきであり、したがって自衛を逸脱したものと言わざるをえない。

自民党内の、猿芝居を思わせる権力闘争の結果、大方の予想通り菅前官房長官が新しい総裁、つまりこの国の首相になった。国民の多くは、この結果に異議を唱えていないということらしいが、ひとり複雑な気持ちを抱いている人々がいる。沖縄県の人々だ。菅新首相は、安倍前総理とかぶさる期間官房長官を務めてきたし、その立場から、沖縄の民意を無視して辺野古の米軍基地建設を進めてきた。首相になっても、その立場はかわらないだろう。むしろ、安倍前総理以上に、辺野古基地建設の推進に前のめりになるのではないか。沖縄の人々の大部分は、そう受け止めているのではないか。

各派閥の支持を受けて、菅候補の圧勝は間違いないと思われていたが、どうのその流れに変化が生じる可能性が出てきた。菅候補が、党・内閣の人事は自分の一存で決め、派閥の意向は無視すると発言したためだ。これには、二階派を除く各派閥は反発するはずだ。菅候補の勝利は各派閥の支持があってこそだ。その支持は当然、見返りとセットになっている。その見返りである人事をめぐって、派閥の意向を無視するとあっては、派閥として菅候補を支持するモチベーションがなくなる。そんなわけで、菅候補の独断的な姿勢に反発した派閥が、岸田候補に鞍替えする可能性はゼロではなくなった。

安倍晋三総理の突然の辞任を受けて、さっそく自民党の総裁選びがはじまったが、総裁選の公示をまたずに、次期総裁が決定したようである。例によって派閥間の談合が行われ、その結果、岸田、石破のグループを除いた全派閥が菅官房長官に一本化したと報道されている。今回は、自民党員の広い参加を得ておこなうのではなく、実質国会議員だけで決めようということだから、これで結果は決まったといえるのである。いつものこととはいえ、自民党の体質を思い知らされる。国民の目を無視して、自分たちのうちわの都合だけで、次の総裁、つまり総理大臣を決めようというわけだ。

安倍晋三総理大臣が突然辞意を表明した。あまりにも突然のことだったので、メディアをはじめ大方の論調は驚きを隠せないといった受け止め方だが、辞意そのものについては、比較的中立的な反応を示しているようだ。とはいっても、どうでもよいという受け止め方でもない。どんなものごとにも終りはあるのだから、安倍政権に終りが訪れても不思議ではない、といった受け止め方だ。

黒い雨訴訟に関して、原告の訴えを全面的に認めた広島地裁の判決を聞いた時、小生はそれを当然のことだと思った。また、国は控訴することなく、この判決を確定すべきだとの原告の思いも理解できた。だが、国は控訴に踏み切った。その理由を聞いて、違和感を抱いたのは小生のみではあるまい。

コロナショックによって日本経済に深刻な影響が出ており、今年度のGDPが大幅に減少することが確実視されている。そこで景気対策としての消費税減税が、野党はじめ各方面から提案されている。それに対して安倍政権は、いまのところ否定的だ。安倍晋三総理自身は、この消費税は福祉施策のための特定財源としての性格を強くもっていることを根拠として、その減税には消極的だ。また財政の自称専門家たちの多くも否定的だ。小生についていえば、期間限定での減税は、景気対策として効果的だと考える。ドイツやイギリスでは、日本の消費税に相当する税目を期間限定で減税している。日本も同じようなことができないわけではない。

ALS患者に対して薬物を投入し死亡させた医師二人が嘱託殺人罪で逮捕されたという。このニュースに最初に接した際には、事件の背景がはっきりしなかったので、なんとも判断のしようがなかったが、その後、新聞等で報道されていることからして、嘱託殺人で起訴されるのはやむをえないと考えるに至った。

ロシアの憲法が、国民投票を経て改正された。ヴラヂーミル・プーチン大統領の仕込んだ改正だという印象があまりに露骨なので、これをプーチンの憲法改正と呼ぶ向きが、ロシア国内を含めて、強く指摘されている。実際この改正によって、プーチンは2036年まで大統領の座にとどまれる可能性が高まったし、その他の点でも、執行権力の強化が図られたようだ。というのも小生は、まだ改正憲法全文をつぶさに読んでいないので、いずれ詳しく読んだうえで、小生なりの批評をまとめてみたいと思っている。

今回のコロナ騒ぎでは、日本は対策がずさんだったにかかわらず、いわゆる感染爆発が起らず、欧米諸国に比べてはるかに規模の小さな感染にとどまったというので、欧米諸国からは不思議に思われている。その理由を小生なりに考えている。この感染症は密接感染から生じることがわかっている。日本では人々は、この密接感染を引き起こすような行動様式からほど遠い行動を日頃からとっている。日本人は欧米諸国の人々のように、互いにべったりくっついたりはしない。挨拶代わりにハグをしたり、親愛の感情を示すためにキスをしたりはしない。会釈か、あるいはせいぜいお辞儀程度でコミュミケーションが成立する。そういう文化的な背景が、日本でコロナを爆発感染させなかった大きな理由だと思っている。

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