世界情勢を読む

ハーバード大学の学長辞任騒動について、これは米国内での親イスラエル勢力の圧力によるものと、小生などは思っていたが、実はもっと複雑な事情があるらしい。その事情の一端を、雑誌「世界」の最新号(2024年4月号)に寄せられた一文が解き明かしている。「大学不信と多様性へのバックラッシュ」と題されたこの小文(林香里)は、米国内における保守派による大学の多様性へのバックラッシュがこの事件の真の要因であり、反ユダヤ主義云々という保守派の主張は、多様性への敵対を糊塗する言い訳のようなものだというのである。

雑誌「世界」の最新号(2014年3月号)に、今進行中のパレスチナ問題についての二つの投稿がある。一つは「パレスチナ・西岸に生きるということ~あるいは次の瞬間死ぬということ」と題する安田菜津子のルポルタージュ記事、もう一つは「ショアーからナクバへ、世界の責任」と題する高橋哲哉の講演記録で、こちらはイスラエルによるパレスチナ人迫害について原理的な考察を行っている。

岩波の雑誌「世界」の最新号(2024年2月号)が「リベラルに希望はあるか」という特集をしている。いまどき何故リベラルを、しかもその希望を問題にするのか、それ自体が問題であるが、それはさておいて、この特集には、いわゆるリベラルは必ずしも人間にとっての希望と結びついていないのではないかという懸念が指摘できるようだ。

イスラエルのガザにおける虐殺を、南アフリカ政府がジェノサイドだと批判し、国際司法裁判所に提訴したことを受けて、ネタニヤフが奇妙な反論をしている。我々の行為は国際法にしたがったもので、かつ道徳的だというのだ。どうもネタニヤフにとっては、イスラエルのユダヤ人が行うことは、どんなことでも合法的であり、かつ道徳的な行為だということのようだ。

NHKは優れた教育映画作品を対象に日本賞を授与しているそうで、今年は50回目を迎えるという。そこでグランプリに輝いた作品をEテレで放映した。「トゥー・キッズ・ア・デイ」というタイトルだ。イスラエルにおいて、日常的に行われているパレスチナ人の逮捕監禁をテーマにしたもので、なかでも14歳未満の子どもを対象とした逮捕監禁をこの映画は取り上げてる。それを見ると、ヨルダン川西岸で暮らすパレスチナ人の厳しい境遇と、かれらを日常的に迫害しているユダヤ人の残酷さが伝わってくる。

雑誌「世界」の最新号(2024年1月号)に、「国家が国籍を奪う 英国の経験」と題する小論(柄谷利恵子著)が掲載されている。近年のイギリスにおける国籍剥奪及び非正規に入国したものの第三国への移送問題などを論じたものだ。これを読むと、スーナク首相が進めている第三国(具体的にはルワンダ)への移送問題の本質が見えてくる。

ガザでジェノサイドの虐殺行為を続けるイスラエル軍が、ハマスによって人質に取られた自国民を殺害した。これについてイスラエル政府は哀悼の意を表するといっているが、いかにもしらじらしく聞こえる。ネタニヤフは先日自国民人質について、全員の命は保証できないという旨の発言をして、家族の怒りを買ったということだが、それがネタニヤフの本音なのだろう。

岩波の雑誌「世界」の最新号(2024年1月号)が「ふたつの戦争、ひとつの世界」と題する特集を組んでいる。二つの戦争とは、ロシアとウクライナの戦争及びイスラエルとハマスの戦争のことだ。このふたつのうち後者の方に力点が置かれている。五つの記事のうち四つが後者をテーマとしている。

イスラエルを熱心に支持しているバイデン政権が、ネタニヤフ政権に戦車などの兵器を提供する決定をしたそうだ。総額で1億650万ドル=日本円でおよそ154億円相当だそうだ。この規模の外国への武器提供には、本来議会の承認が必要だが、バイデンはその手続きを踏まずに実行するという。

来年の米大統領選挙の勝利を目指しているバイデンに黄信号がともったと噂されている。アメリカのイスラム社会が、今般のイスラエルとハマスの戦いに関するバイデンの対応ぶりに大いに不満を抱き、来年の選挙ではバイデンに投票しないキャンペーンを始めたからだ。イスラムの人口は、そんなに多くはない。全米で350万程度だ。だが、大統領選挙の行方を左右する、いわゆるスウィング・ステートでは、選挙の結果を左右する力をもっている。それらの州で、イスラム系がかりに棄権すれば、バイデンはかなりな確率で敗北するだろうと予想されている。

ハマスに人質になっている者の一部が、イスラエルが拘束しているパレスチナ人と交換で釈放された。この交換は、ハマスが釈放する人質1人に対して、イスラエル側が3人の割合で釈放するという取り決めになっているようで、初回はハマスが釈放するイスラエルの人質13人に対して、イスラエル側は39人を釈放した。ところが、ハマスはそれに加え、10人のタイ人(他にフィリピン人1)を釈放した。これは、交換の枠組とは別途、ハマス側の一方的な措置である。ということは、タイ人の人質は、交換の枠組にそもそも入れられていないということだろう。タイ人をイスラエルが交換の枠組に含めないということは、タイ人を人間として見做していないということを物語っているのではないか。

スウェーデンのクリステション首相の発言が波紋を呼んでいる。国内の集会で、イスラエルとハマスの対立に触れたさい、イスラエルの攻撃に関して、イスラエルにはジェノサイドの権利があるというふうに受け取られたためである。スウェーデン政府はこれを誤認だとして火消しにやっきになっているようだが、どうもそう単純なことではないらしい。クリステション首相の発言は、イスラエルには Volkmord (ジェノサイド)の権利があるというものだったらしいが、これは言い間違いで、首相はイスラエルには自衛権があると言いたかったのだとスウェーデン政府は言いたいらしい.。だが、かりにその通りだとしても、クリステション首相の発言には問題があるといわねばならない。

ドイツ政府の内務大臣が、国内のイスラム教徒に対して、ハマスの越境攻撃を明確に非難し、イスラエルへの連帯を表明するよう求めたそうだ。これは事実上強制的なものといえるようだ。なにしろドイツ政府が名指しで求めていることだ。それに応えないとどんなことになるか。ドイツ国内のイスラム教徒は不安におびえていることだろう。

バイデン政権が、ウクライナ戦争中民間人を殺害した軍人を、制裁リストに加えたそうだ。ブチャの虐殺者と呼ばれる軍人二人とその直系の家族が対象だそうだ。一方、イスラエルがガザで行っている虐殺行為に関しては、いまのところ制裁の議論はなく、かえってイスラエル政府を支援する姿勢を示している。イスラエル政府を支援するということは、イスラエルがガザで行っている虐殺を支持するということに他ならない。

トルコのエルドアン大統領が、今回のイスラエルとハマスの衝突に関連して、イスラエルによるガザの民間人殺害を批判して、イスラエルをテロ国家と呼んだ。それに対してイスラエルは当然反発し、エルドアンを反ユダヤ主義者といって非難した。そう言われてもエルドアンはひるまない。自分は別に反ユダヤ主義にもとづいてイスラエルを批判しているわけではない。イスラエル国家が現実に行っている行為を取り上げて、イスラエルをテロ国家と呼んでいるのだと反論した。

イスラエルのユダヤ人とガザのパレスチナ人の対立激化に対して、バイデンは一貫してイスラエルを支持してきた。その理由は、イスラエルには自衛権があるというものだ。バイデンによれば、ガザを実効支配するハマスはテロリストであり、イスラエルにはそのテロリストから自国を防衛する権利がある。だから、イスラエルのユダヤ人がガザのパレスチナ人を殺すことは問題ないという見地に立っているようである。

10月7日のハマスによるイスラエル攻撃に対する報復だとして、イスラエルのユダヤ人政府がガザに対する攻撃を激化させている。今日(11月2日)の時点で殺されたパレスチナ人は8500人以上に達し、その大部分は女性と子供であるという。イスラエルのネタニヤフ政権は、人道的停戦を訴える国際世論に耳を貸さず、ハマスを根絶やしにすると言っている。かれにとってはガザの人間はすべてハマスに見えるようだから、ガザに住む200万人のパレスチナ人を根絶やしにする、つまり皆殺しにするつもりらしい。

2023年7月、オランダ国王が奴隷制と奴隷貿易について公式に謝罪したそうだ。水島治郎によれば(「世界」2023年11月号所収論文「自由と寛容をめぐるせめぎあい」)、オランダは南米にスリナム植民地を領有し、19世紀半ばまで大量の奴隷をアフリカから連れてきて使役した。他の国が相次いで奴隷制を廃止する動きを見せても、オランダは最後まで奴隷制の維持にこだわった。実際に奴隷制を廃止したのは1873年のことだ。

先日行われたG20では、主催国のインドが巧妙な会議運営を行い、G20の団結を強化したとして、日本を含むG7諸国は、インドの首相モディに絶賛の拍手を贈った。日本のメディアも、岸田政権に追随してインドのモディ首相を褒めている。そういう風潮に異議を唱え、今回のモディ首相の会議運営を厳しく批判する者がいる。雑誌「世界」の最新号に「ヒンドゥー国家に呑まれたG20」という小文を寄せた中溝和也である。

ゼレンスキーがカナダ議会に招かれて演説をしたさい、議員以外に招待された男がかつてナチスの戦闘員だったことが判明し、議長が辞任する騒ぎになった。その男はウクライナ出身で、先の大戦中ロシアと闘ったことを自慢したのであったが、じつはナチスの協力者で、SSの部隊に所属していたことがわかった。事実を指摘したのは、カナダのユダヤ人団体である。それを指摘されたカナダ政府は、トルードー首相みずから謝罪したほか、その男を招待した議長も辞任した。

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