白鷲と猿図:河鍋暁斎の動物図

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「白鷲と猿図」はジョサイア・コンドルの旧蔵品で、もともと暁斎がコンドルへの画法教授の目的も兼ねて描いてやった作品だと思われる。この作品は、狩野派の画法の特徴を盛り込んでいるところから、狩野派の一員としての暁斎の画法の一端をコンドルに示したのだろう。

動物を多く描いた暁斎だが、それらは蛙とか猫といった小動物がほとんどで、暁斎自身としては鷲とか虎とかいった猛禽・猛獣の類はあまり手がけなかった。そうしたどう猛な動物は狩野派がよく手がけたところだが、暁斎も一応狩野派の薫陶を受けたものとして、それらの描き方は心得ていたわけである。この絵はそうした狩野派の画師としての面目を感じさせる。

枯木の上に堂々と立つ白鷲と、木の下の空間に身を潜める猿を描く。枯木のざっくりとした墨の表現と、白鷲の羽を胡粉で丁寧に現わした対比が特徴的だ。このように、副次的な部分をざっくりと描き、モチーフを丁寧に描くところは狩野派の特徴のひとつだ。

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これは猿の部分を拡大したもの。身を縮め、両手で頭を隠して、白鷲の恐怖から逃れようと必死になっているところが伝わってくる。

(明治17年 絹本着色 118.2×53.6㎝ 河鍋暁斎記念美術館)






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