托塔天王晁蓋(一魁随筆):月岡芳年の錦絵

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晁蓋は水滸伝に出てくる英雄のこと。晁蓋は東渓村に住んでいた。そこから谷を隔てた隣の西渓村には、夜ごと怪物が出て人々を苦しめていた。そこで西渓村の人々は仏塔を建てて怪物を折伏したところ、怪物はたまらくなって東渓村に逃げてきた。その事に怒った晁蓋は、西渓村から仏塔を盗んできて東渓村に立てたところ、怪物は逃げ去っていった。以後晁蓋は托塔天王と呼ばれるようになった。この絵はその物語をイメージ化したものだ。

晁蓋が仏塔を持ち上げて運んでいると、怪物が現れて不安そうに見ている。その怪物を晁蓋はにらみ返しながら、臆することなく仏塔を持ち運んでいく。

怪物のイメージが独特だ。国芳の「和漢英雄画伝」の図柄を借用したものだが、顔の形が動物を思わせ、ユーモラスなところもある。

(明治五年<1872> 大判錦絵)






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