吼噦(月百姿):月岡芳年

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吼噦とは狐の鳴き声をあらわし、転じて狐そのものをもあらわす。芳年はその狐をモチーフにした図柄を狂言「釣狐」をもとにイメージ化した。

狂言では猟師に仲間の狐を多く殺された老狐が、猟師の叔父に化けて狐狩りをやめさせよぅとする。しかしその正体を見破られて、帰り道に猟師によって仕掛けられた罠にはまってしまう。

この絵は、猟師のもとを辞して巣穴へ帰る途中の老狐を描いたもの。狐はうしろのほうを振り返っているが、その表情にはどこか哀愁が感じられる。

(明治十九年<1886> 大判錦絵)





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