フードをかぶったマルグリット・ド・コンフラン:マネ

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1870年代になると、マネの肖像画のモデルは上流階級の婦人が多くを占めるようになる。この絵のモデル、マルグリット・ド・コンフランもそうした上流階級の婦人で、マネとは近い親戚筋にあたるという。この女性をマネは気に入ったようで、何点かの肖像画を描いている。マネは彼女を描くたびに、彼女の家に出向いていった。当時は良家の子女が画家のアトリエに赴いてポーズをとることははしたないと受け取られていたのである。

この女性は、白いフードをかぶり、舞踏会用のドレスを着込んで、前のほうをじっと見つめている。白いドレスをとおして、肌の色が透けてみえるところが官能的である。背景が黒一色で塗りつぶされているために、人物がくっきりと浮かび上がり、肌の色が余計に強調されていることも働いている。

フードといいドレスといい、丹念には描きこまれておらず、ざっくりとした感じに仕上げているのは、印象派への目配りのせいだろう。しかし、マネはモネやルノアールのようには、光に敏感ではない。

(1873年 カンバスに油彩 56×46cm 個人コレクション)





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