波濤図:尾形光琳

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渦を巻いて盛り上がる波濤を描いたこの絵は、宗達の「雲龍図屏風」にヒントをえたものと考えられる。雲龍図屏風のなかから、波濤の部分を単独に取り出して、それを拡大しながら、二曲の屏風の面に定着した。この二曲の屏風面は、ほぼ正方形に近く、しかも大画面なので、表現の場としては色々な工夫が可能である。光琳はその可能性を最大限生かして、新しい表現様式を模索したのだろう。

「道崇」の印が押されているが、これは宝永元年(1704)年から用いられたもの。また、宝永五年(1708)年の書状には、毎日雪舟の模写をしているとあり、そこから得た画法がこの絵にも通じるところから、その頃の作品ではないかと推測される。

(紙本金地着色 二曲一隻 146.6×165.4㎝ ニューヨーク、メトロポリタン美術館)






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