
海北友松の網干図屏風には、佐野美術館蔵のものと、皇居三の丸収蔵館所蔵の皇居御物がある。上の図柄は、皇居御物の右隻。青々と茂る芦を配して春夏の景色を描く。一方左隻のほうは、秋冬の景色を描いている。
単純な図柄であるが、芦の描き方には精緻な配慮が見られ、繊細さも感じさせる。水を象徴的な形で表した横の線と、網干の垂直的な線が交差する構図は、画面に安定した動きを与えている。

これは左隻の一部。前面の網干よりも背景の水の方が濃く描かれている。通常このような描き方では、前面のオブジェが後退して見えるはずなのだが、この絵の場合にはそうはなっていない。不思議な視覚効果をもたらしている。
(紙本金地着色 六曲一双 宮内庁御物)
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