野球の未来は心細いか

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今年のMLBワールド・シリーズは異例なことが重なった。優勝したワシントン・ナショナルズは、前身のモントリオール・エズクポズ時代を含めて、球団創設以来50年ぶりのシリーズ出場で、しかも一発で優勝した。エクズポズがナショナルズに変る際には、球団の経営を引き受ける者がいなくて、大リーグ機構が直接経営したということもあり、長い間低迷していたのが、その後経営主体が現れてからは、徐々に他の球団並みになっていき、ついにワールド・シリーズ優勝にこぎつけたというわけだ。

また、今年のワールド・シリーズは第七戦までもつれこんだが、すべてのゲームでアウェイのチームが勝った。これは史上初めての珍事だそうだ。だいたいホーム・チームが有利というのが、これまでの歴史の実情なのだ。

ところで、アメリカでは野球の人気に陰りが出ていると言う。それを端的に物語るのが、ファンの年齢層だ。2017年の調査によれば、大リーグのテレビ観戦者の平均年齢は59歳だったそうだ。35歳以下の割合はわずか24パーセントで、45パーセントを誇るバスケット・ボールに比べ、ファンの高齢化傾向が著しい。人種構成も偏っていて、大リーグファンには白人の割合が多いという。この状態が今後も趨勢として続けば、アメリカにおける野球人気はこの先先細っていくのではないかと危ぶまれているそうだ。

野球人気の低迷は日本も同じだ。今年の日本シリーズのテレビ視聴率は、ラグビー・ワールド・カップのそれに及ばなかった。これまでなら考えられなかったことで、スポーツ人気が広がりを見せているなかで、野球だけが低迷の趨勢にあることを感じさせる。

MLBでは、野球人気の回復を目指して色々なアイデアが考えられているようだ。試合時間の短縮のための措置だとか、アンパイヤをAIにやらせるとかだ。AIの方が、ミスのないジャッジを期待できるということだ。日本のプロ野球も、少なくとも日本シリーズのやり方くらいは見直す必要があるだろう。今の日本シリーズは、リーグのペナントレース優勝者同士の対決になっていないので、真の意味での日本チャンピオンの決定になっていない。それではファンはしらけるだろう。ファンをしらけさせてはいけない。





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