モントルグイユ通り:モネ

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1878年1月、モネはアルジャントゥイユを去り、パリのエダンブール街に数か月仮住まいした。その間に革命記念日の喧騒に遭遇し、それを見た興奮を一点の作品に表現した。「モントルグイユ通り」と題したこの作品は、パリ革命の最初の記念日6月30日の町の喧騒を描いたものだ。

モントルグイユ通りは、レ・アール駅の北側を南北に走る通りで、食料品を贖う店が軒を連ねているところから、「巴里の胃袋」とも呼ばれるところだ。その通りに、最初のパリ革命記念日に大勢のパリ市民が繰り出している。モネのこの絵は、その光景を上から俯瞰するようにして捉えている。

構図的には、二本の対角線が交差するようにして、その対角線が作る四つの空間を、それぞれ独特のフォルムが埋めている。すなわち左右の二つの空間には旗がはためき、下の空間には大勢の人々がひしめきあい、上の空間には青い空がのぞくといった具合だ。

それぞれの部分の表現は、かなり抽象的なものになっている。そのために、この絵に、何を描いているのかわからないといった非難を浴びせるものもいた。モネはこの絵を通じて、印象派風の省略画風を越えて、現代美術につながる抽象性を表現し得ている。

(1878年 カンバスに油彩 80×50㎝ パリ、オルセー美術館)





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