元TBS記者による強姦事件の後味の悪さ

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先般、元TBS記者山口某が酔った女性をホテルに連れ込み、意識のない彼女を強姦した事件について、民事訴訟で強姦の事実を認定したうえで、加害者に損害賠償を命じる判決があったが、この事件は強姦をめぐる日本人の意識の特異さを見せつけたものとして、実に後味の悪いものであった。加害者の男は、いまだに和姦だったと言いたてているが、意識のない女性とどのように同意したというのか。この男は自分の行為について悪びれる様子を見せず、かえって控訴する意向だそうである。

この事件については、日本のマスメディアの反応や、フェミニストの運動はほとんど起きておらず、被害者の女性は孤独な戦いを強いられている。彼女は同情されるどころか、かえってバッシングされる始末だ。そういう日本のある種情けない限りの状況について、ジャパンタイムズに投稿された文章が厳しい批判を加えている。(What lies behind Shiori Ito's lonely #MeToo struggle By Shaun O'dwyer)

その記事によれば、日本のマスコミがこの事件に及び腰なのは、加害者が時の権力者と強くつながっていることに忖度したからだという。山口某は、逮捕直前に、警視庁の幹部の鶴の一声で逮捕を逃れたというが、それは彼が最高権力者と強いつながりをもっていることに基づいている、とこの記事は推測している。日本の刑事司法のシステムからすれば、逮捕されればほぼ有罪ということになるので、この男が逮捕を免れたことは重要な意味を持っている。

フェミニストから強い批判が湧き起こらないのは、日本にフェミニストの運動が定着していないからだとこの記事は言う。アメリカはもとより、隣の韓国でも、フェミニストの運動は社会に定着しており、この種の事件が発生すれば、強い非難の声が巻き起こる。ましてや、政権与党の政治家が先頭になって、被害者のバッシングに夢中になるようなことを許さない。ところが日本では、被害者はバッシングを通じて、二重にレイプされるような情けない事態が生じている。被害者バッシングの先頭には、LGTPには生産性がないとか、夫婦別姓がいやなら結婚するなとか叫んだという例の女傑代議士がいるという。日本では、女が女の権利を蹂躙して喝采を浴びているのである。

この記事の結論は、日本でもフェミニストのNPOが沢山作られ、それらが女性の権利の擁護とセクハラの防止に目を光らせば、女性にとってもっと住みよい環境が生まれるという主張だ。とにかく日本人の女性の人権についての意識は、異常に低いといわねばならない。その意識の低さが、たとえば慰安婦問題についての公正な視点を妨げているのだと思う。





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