鳥獣戯画画稿、猫又と狸:河鍋暁斎の動物戯画

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河鍋暁斎は、動物を描くための下絵として数多くの作品(画稿)を残している。これはその一枚。動物たちの踊る姿を描いている。これはあくまでも下絵であるから、これをもとに本格的な作品を描こうという心つもりだったわけであるが、今日の目から見れば、これ自体として立派な作品になっている。

モチーフの中心は踊る猫であろう。何故か紙を貼り合わせた上に描いている。どのような意図があったのかはわからない。いずれにせよこの猫は、尻尾が二つあるところからも、普通の猫ではなく、妖怪だとわかる。目つきも鋭く、妖怪の雰囲気を漂わせている。

猫の(向かって)左手にいる狸は、頭の上に葉っぱやら草のようなものをのせているが、これから化ける合図であろう。その狸の前には、草で編んだ団扇を持って狐が踊っている。この狐と狸は互いに化かし合うのではなく、協力して化け猫のために音頭をとっているように見える・

右手前の二匹のもぐらは、踊り方が半端ではなく、狂乱しているようにも見える。下絵であるから、背景には大した工夫はない。また署名もない。

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これは狸の部分を拡大したもの。頭にたくさん葉っぱのようなものを乗せているが、下絵であるから着色等はされていない。

(紙本淡彩 53.2×60.6cm 河鍋暁斎記念美術館)






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