鳥獣戯画、梟と狸の行列:河鍋暁斎の動物戯画

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これは鳥獣の下絵のなかの一枚、動物たちの行列を描いたものだ。行列の先頭には烏帽子をかぶった梟が行き、その後を狐にまたがった狸が行く。この狐と狸の関係は、狐が狸を乗せているのか、狸が狐に乗っているのか、どちらとも言えないところがミゾだ。一方の狐は冠がわりに人間の頭蓋骨を頭に乗せ、もう一方の狸のほうは大きな葉っぱを蓑がわりに羽織っている。これはこれから化けるという合図かもしれない。

以上三者に蛙たちが付き従う。蛙も三匹いる。一匹は狐の背後から大きな蓮の葉っぱのようなものを傘のかわりにかざし、一匹は笹の枝先を持って団扇がわりに仰いでいる。三匹目の蛙は、蛙ならぬひょっとこ踊りを披露しているように見える。

この一行が何を擬人化しているのか、よくはわからない。官軍の威勢のよさを皮肉っているのかもしれない。官軍に化けるべき動機があるのかわからぬが、少なくとも薩長の田舎侍が官軍に化けたとは言えそうである。

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これは梟の部分を拡大したもの。梟の目が垂れ目になっているのが面白い。梟はときおりこんな表情をするそうである。暁斎の観察眼の鋭いことを物語るものだ。

(紙本淡彩 57.5×60.8㎝ 河鍋暁斎記念美術館)






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