頼光四天王大江山鬼神退治之図:月岡芳年

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源頼光とその家来たちによる酒呑童子退治は能や歌舞伎の格好の題材となったほか、浮世絵師の武者絵にも大きく取り上げられた。芳年の「頼光四天王大江山鬼神退治之図」と題するこの作品も、その代表的な一点。頼光一家があたかも酒呑童子に襲いかかる場面を描いている。

能や歌舞伎では、頼光一行が大江山の酒呑童子の隠れ家に入り込み、寝ていた酒呑童子に襲いかかってその首を打ち、とらわれていた女たちを解放したということになっている。この図はその物語を忠実に再現したものだ。

寝首を襲われて怒り狂った酒呑童子に、頼光一行が襲いかかる。中央では頼光と酒呑童子がにらみ合い、その二人を囲むように、四天王が刀を振り回しながら、戦いに望んでいる。左端にはとらわれていた女房の姿も描かれている。

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これは中央の部分を拡大したもの。互いににらみ合う頼光と酒呑童子の表情が生き生きとしている。

(元治元年<1864> 大判三枚続)






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