「孔雀立葵図屏風」は、左隻に立葵の花を、右隻に雌雄の孔雀を描いている。双方の絵にはあまり関連は感じられないので、それぞれ独立した作品として鑑賞される。特に孔雀図は、羽を大きく広げた雄の孔雀と、その前で首を低く垂れた雌の孔雀の醸し出す雰囲気がなんとも言えない感動を呼び起こす。
広げられた孔雀の羽は、一枚一枚微細に表現され、まるで生きている大きな目の集合のような感じを与える。この孔雀の羽に覆いかぶさるように梅の枝が描かれているが、その一部が羽の陰に隠れていて、見る者に緊張を強いる。
画面右端は梅の幹だと思われるが、変な具合に湾曲しているのは、孔雀の形態に合わせたためだろう。
これは立葵の花を描いた左隻の図。立葵は横一列に配され、やや様式的な雰囲気を感じさせる。
(紙本金地着色 二曲一双 各146×173cm 個人蔵 重文)
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