無慈悲なニールセンだが、トランプが期待するほど無慈悲にはなれなかった

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米国土安全保障長官のキルステン・ニールセンが、事実上トランプに更迭される形で辞任した。理由は、移民に対する彼女の対応が生ぬるいということらしい。とはいっても、移民政策に関する彼女の対応は、米国の移民政策の歴史の上で例を見ないほど過酷で無慈悲なものとして有名だった。なにしろ、物心のつかないような小さな子供まで親から取り上げて収容所にぶち込むようなことを平気でしてきた人間だ。その無慈悲な彼女でも、トランプの眼には生ぬるいと映ったのだろう。

トランプは、再選に向けての最大のプロパガンダとして、移民の締め出しを打ち出している。先般は、国家非常事態宣言を出してまで移民を阻止するための壁の建設を進めようとしたほどだ。その決意は固い。そのトランプの眼から見れば、ニールセンのやり方はまったく微温的に映るのだろう。トランプは、移民は三歳の子供までギャングと見なすべきであり、そういう連中には慈悲など無用だというスタンスだ。だからニールセンにはもっと無慈悲になってもらいたいと思っていたが、彼女はそういう自分の気持が理解できていない。だからやめさせたということのようだ。

ニールセンとしてみれば、自分は心を鬼にして移民を無慈悲に取り扱ってきたが、アメリカは一応法治国家であって、移民取り扱いに対して無慈悲になるにも限度というものがある。まさかスイフトの勧めにしたがって、移民を殺してその肉を食うわけにもいかず、また子供を奴隷に売るわけにもいかない。自分としては、やれる限りで無慈悲なことをやって来たのであって、そこのところをボスのトランプにわかって欲しかったが、わかってもらえなかったのは残念だということらしい。

ニールセンの後任には、ニールセン以上の無慈悲さが求められるだろう。その無慈悲さは、おそらく人間性を逸脱するようなものでなければ、トランプを満足させることはないと思われる。

(参考)Kirstjen Nielsen Was Heartless, but Not Heartless Enough for Trump By Michael Tomasky:Daily Beast





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