
近世初期には、長崎にやってきた南蛮船をテーマにしたいわゆる南蛮屏風が多数作られた。数十点現存するそれらの南蛮屏風のうち、これはもっともすぐれたもので、保存状態もよい。構成は、左隻に南蛮人の、おそらく中国における行楽の様子を描き、右隻に、長崎に到着した南蛮船を、人々が迎える様子を描いている。
上の図柄は左隻。左側には南蛮船が出島の港に近づく様子が描かれ、右側に船を出迎える人々が描かれる。南蛮船はかなり大きく、直接接岸するのではなく、小舟を使って陸と行き来しているようである。

これは上図の右半分を拡大したもの。人々のなかには、異国情緒たっぷりの服装をしたものにまじり、日本人の役人もいる。背後の建物は中国風である。
作者は狩野山楽だといわれている。
(紙本金地着色 六曲一双 サントリー美術館 重文)
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