強盗に追い銭:トランプ政権のイスラエル入植地容認

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トランプ政権のポンペオ国務長官が、イスラエルによるヨルダン川西岸の入植地を容認する宣言を出した。これまでのアメリカの歴代政権が、ヨルダン川西岸のイスラエルによる入植活動は、中東和平にとって障害になるという姿勢をとってきたものを、トランプ政権がそれをひっくり返す形で、イスラエルの入植地を認めることは、将来的にヨルダン川西岸がイスラエルに併合されることを認めたと受け取られる。いうまでもなくヨルダン川西岸へのユダヤ人の入植は、イスラエルによるパレスチナ侵略の中核をなす不法行為である。それを容認することは、強盗に追い銭を与えるようなものだ。

イスラエルがヨルダン川西岸の侵略を始めたのは、1967年の第三次中東戦争以来のことだ。この戦争に勝ったイスラエルは、従来パレスチナから奪った土地の安定基盤を盤石なものにするとともに、新たにヨルダン川西岸への侵略を始めた。その侵略には国際的な背景がある。イスラエルはユダヤ人の人口を増やすために、国外から大量のユダヤ人を受け入れてきた。その新しくやってきたユダヤ人の受け皿となったのが、ヨルダン川西岸だ。ガザ地区の一部にも、ユダヤ人による入植が見られるという。

戦争によって領土を拡大することは、国際法上違法とされている。その違法行為を、イスラエルは国際社会の非難を無視して進めてきた。これまでは、ヨーロッパの有力国と足並みそろえる形でアメリカもイスラエルによる入植に慎重だっのだが、それが今回の方針変更になったわけだ。その背景には、トランプのイスラエル贔屓がある。トランプの娘婿はユダヤ人であり、その妻である自分の娘もユダヤ教に改宗している。そうした個人的な事情をもとに、国際法を踏みにじるというのは、アメリカも地に落ちた、という印象を世界中にばらまくものだ。

パレスチナ自治政府は、当然のことながら、アメリカ政府の宣言は無効であり、非難されるべきだ、という声明を出した。しかし、今後パレスチナ問題が解決する見通しは、ますます小さくなったと言わざるをえまい。今の地球社会には、どうやら露骨な弱肉強食がまかりとおりつつあるようだ。





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