IMFが日本財政に口先介入:消費税を20パーセントにせよ

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IMFがこのたび公表した日本経済についての年次審査報告なるものの中で、日本の消費税を20パーセントに上げるように提言した。これは長期目標であって、とりあえずは2030年までに15パーセントに引き上げ、2050年までに20パーセントに引き上げるのが望ましいとしている。我々日本人としては、いらぬお世話と言いたいところだが、IMFなりに真面目な提言ということらしい。

IMFはまた日本の社会保障についても言及し、いまは水準が高すぎるから、もっとカットすべきだという意味のことも提言している。消費税を上げた余裕で社会保障を維持すべきだというのではなく、一方では消費税を上げて、他方では社会保障をカットすべきだといっているわけだ。では消費税で浮いた財源は何に使うのか。国の借金を減らして、債権者の不安を弱める一方、もし日本経済に余力があれば、企業への課税を減らして資本家の利益を保証してやれということらしい。

IMFが世界の債権者の立場にたっていることはよく知られたことだから、債権者の立場を代表してこのような提言をするのはわからないでもない。IMFは過去においても、たとえばアジアの通貨危機とか南米の経済危機に対して、それらの国の都合よりも、債権者の利害を優先して、それらの国の国民に大きな負担を強いたものだ。ギリシャ危機に際しても、EUはIMFとスクラムを組んで、ギリシャ国民に多大な負担を要求した。

こういう事情を踏まえれば、今回のIMFの日本財政に対する提言は不自然なものではない。IMFは国際金融秩序の守護神を任じているが、かれらが代表しているのは、世界中の債権者の利害である。かれらはその立場から、つまりグローバル資本の立場から日本に以上のような要求をするわけである。その要求をよくよく分析すれば、日本に対して、欧米諸国に横並びの政策をとるべきだということにつきる。

つまりIMFはグローバル資本の立場から、日本の社会保障の水準を低下させ、資本家の利益が最大になるように、日本に向って提言しているわけだ。日本人としては、それを受け入れるのか、それとも余計なお世話だといって、独自の政策を優先させるのか。よく考えたいところだ。





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