コロナ対策を怠ってきた日本で感染爆発が起らなかった理由

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今回のコロナ騒ぎでは、日本は対策がずさんだったにかかわらず、いわゆる感染爆発が起らず、欧米諸国に比べてはるかに規模の小さな感染にとどまったというので、欧米諸国からは不思議に思われている。その理由を小生なりに考えている。この感染症は密接感染から生じることがわかっている。日本では人々は、この密接感染を引き起こすような行動様式からほど遠い行動を日頃からとっている。日本人は欧米諸国の人々のように、互いにべったりくっついたりはしない。挨拶代わりにハグをしたり、親愛の感情を示すためにキスをしたりはしない。会釈か、あるいはせいぜいお辞儀程度でコミュミケーションが成立する。そういう文化的な背景が、日本でコロナを爆発感染させなかった大きな理由だと思っている。

コロナはインフルエンザ・ウィルスの一種であり、定期的に繰り返される可能性が強く指摘されている。だから平常時からそれに備える必要があるとされる。ところが日本では、その備えが全くといってよいほどなされなかった。対策の決め手となるPCR検査については、この十年間何も取り組まれていなかったに等しく、感染対策の最前線に立つ保健所は、行財政改革の旗印のもとで劇的な削減が図られてきた。全国の保健所数は、1995年度の845か所から今年度は469か所に減少している。大阪市などは、かつては行政区ごとにあった保健所が、大阪市全域で一つに統合されてしまったという。これではきめの細かい感染症対策ができるわけがない。

そういう事情があるから、政府は感染症対策の王道と言うべききめの細かい対策をとることができずに、場当たりな対策をとるしかなかった。本来なら、PCR検査をきめ細かく実施していち早く感染の状況を把握し、それに応じた拡大防止策をとるべきだった。だが検査能力の問題から、十把一絡げに網をかけ、ロックダウンに近いことをすることで、感染の拡大を防ごうとした。結果から見れば、それでも感染は拡大しなかったわけだから、それでよいではないかと考える人もいるかもしれぬが、それはけがの功名というべきものなので、今後も通用するとは限らない。

日本は欧米に比べれば感染の拡大を食い止めているが、東アジアには台湾や韓国のように日本以上に感染の拡大防止に成功している国もある。そういう国では、PCR検査と患者の隔離政策とをきめこまかく組み合わせて実施している。日本もそれと同じようなことができていれば、感染の規模をもっと小さく抑えただろうと考えられる。

感染症の拡大防止及び患者の治療という面では、医療従事者の献身的な努力も無視できない。日本では医療従事者の削減も続いてきている。医療費抑制という名目からだ。そんな状態で今回の騒ぎを迎えたために、医療従事者に極端な負担がかかった。職業的な良心から不眠不休で働いたというケースも指摘されている。政府はかれらのそうした良心をあてにして、必要な対策を怠ってきたわけだが、そういうやり方はいつまでも続くものではない。医療従事者を含めた医療資源は、大事にしなければならない。





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東京都の感染者が多い、東京アラートなどと言って大騒ぎしているのに、他の府県と比較してみると第二波の可能性すら危ぶまれている。ポイントに絞っての対策を講じなければいけない、小池都知事のコロナ対応には問題があると思われる。それなのに、支持する人が多いと聞く。彼女のプロパガンダが効いていて、彼女の本質を見抜けないようだ。日本全体としての安倍政権のコロナ対策は適切だった、と私は思っているが、多くの人とは異なっているのだろうか・・・

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