安倍政権とは何だったのか?

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安倍晋三総理大臣が突然辞意を表明した。あまりにも突然のことだったので、メディアをはじめ大方の論調は驚きを隠せないといった受け止め方だが、辞意そのものについては、比較的中立的な反応を示しているようだ。とはいっても、どうでもよいという受け止め方でもない。どんなものごとにも終りはあるのだから、安倍政権に終りが訪れても不思議ではない、といった受け止め方だ。

そこで早速、安倍政権についての評価というか、値踏みのようなものが、世界中のメディアに掲載されている。簡単にいえば、安倍政権の八年間は何だったのか、といったものだ。大方は、中立的な評価だ。批判するのでもなく、褒めるというわけでもない。淡々と事跡を並べて、簡単なコメントを加えたといった体裁のものが多い。

ここでは、そうした論調を代表していると言えるニューヨーク・タイムズの小論を取りあげてみたい。この小論は、安倍政権最大の事跡は、日本の憲政史上最長といわれるような長期政権だったことだという。この評価は、安倍政権に先立つ幾つもの政権が、当の安倍第一次政権を含めて、短命だったことを思えば納得できるものである。なにしろ毎年政権が交代していたのだ。それではまともな国家運営は期待できない。ある程度長期にわたって政権が維持されるというのは、かなりな程度で必要なことなのである。

安倍政権といえば、日本ではタカ派のイメージが強いが、海外では、どちらかというと、ハト派的に受け取られているようだ。安倍政権最大の売りは経済政策であり、アベノミクスと呼ばれるその政策が、欧米の標準ではリベラルに分類されることを思えば、そういう評価にも一定の理由はある。安倍政権は、思われている以上に、リベラルであり、リベラルとは欧米では、ハト派と結びつくイメージなのだ。

もっとも安倍政権のタカ派的なイメージも指摘してはいる。集団的な自衛権の容認はその最たるものだ。もっともその評価は肯定的なものだ。ニューヨーク・タイムズとはいえ、アメリカの国益には敏感なところがあるから、日本がアメリカの同盟国として、アメリカと共に戦ってくれることは歓迎なのだ。

一方で、安倍総理宿願の憲法改正については、その実現ができなかったのは、国民の支持を得られないからだと、客観的な評価をしている。また安倍政権が憲法を占領軍つまりアメリカに押し付けられたと言っていることについては、なにをとぼけたことを言っているのかといった反応がうかがわれる。

安倍政権といえば、日本国内では、度重なるスキャンダルが国民の怒りをかったところだが、海外のメディアは、その問題はあまり重視していない。トランプのやっていることはもっとひどいし、安部晋三がやっている程度のことは、国際的な常識からいえば、そう目くじらを立てるほどのものでもないと考えているからだろうか。

また、安倍総理の強引な政治手法は、日本のインテリには人気がないが、これも海外のメディアにはあまり問題にされない。そんなわけで安倍晋三総理は、政治家としては、ごく平凡な器だったというのが、国際標準の受け止め方のようである。






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