日本橋江戸ばし、日本橋通一丁目略図:広重の名所江戸百景

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(43景 日本橋江戸ばし)

43景から夏の部に入る。その夏の冒頭も日本橋の景色である。この絵は、日本橋の上から、下流の江戸橋方面を眺めた構図。日本橋の欄干が大きく描かれ、背景との間でアンバランスなコントラストを演出させるところは、広重一流の遠近法である。

右手の町並みは日本橋の南岸で、ここには北岸の魚市場に向かい合うように、干物をあつかう四日市河岸や木更津への舟の発着場である木更津河岸があった。また、江戸橋の先に見えている白い倉庫群は、小網町の問屋街である。ここには奥州筋の船積問屋が集まっていた。

手前に棒振りの盥に横たわったカツオが描かれているが、これは魚河岸から仕入れたばかりと見える。江戸っ子たちは初物のカツオを、値段にいとめをつけずに買い求めたという。

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(44景 日本橋通一丁目略図)

日本橋通りは東海道の起点で、江戸最大の繁華街であった。橋寄りから南に向かって一丁目から四丁目まであった。一丁は約百メートルの長さである。この絵は、一丁目の様子を描いている。

右手に見えるのは近江商人の経営する白木屋。昭和の中頃まであったが、火事で焼けて倒産、その後東急百貨店になったが、それもやがて閉鎖された。この白木屋は、通りの東側にあるところから、日本橋は画面の奥だとわかる。

さまざまな人々が行きかっている。一番手前は女太夫、その先にはかっぽれ芸人の一行、その先は商家の子女たちだろう。かっぽれの右手には、甜瓜を売る商人、その後ろには蕎麦屋の出前。甜瓜は当時非常に好まれたという。小生も子供の頃よく食ったものだが、なかなか甘かった。いまではメロンに駆逐されて、店頭に見ることはなくなった。






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