バイデンは責任を果たすべき:イスラエルのガザ空爆

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イスラエルのユダヤ人と西岸及びガザ地区に住むパレスチナ人との衝突が止まらない。ガザ地区からは3000発以上のロケット弾がイスラエル内に向けて発射され、それへの報復と称してイスラエル軍はガザへの空爆を繰り返している。これまでに200人以上のパレスチナ人が死亡し(ユダヤ人側は10人)、その中には多くの子どもも含まれる。深刻な人道問題との認識が高まり、国連では各国が一致して停戦を呼び掛ける案が出されたが、バイデン政府の頑固な反対で実現しない。ネタニアフのイスラエルはそれをいいことに、空爆をやめる気配がない。このまま放置しておけば、2014年以来の大惨事になるだろう。

専門家を自称する人々の多くは、喧嘩両成敗的な議論を展開している。昨日の朝日の夕刊に乗った小文には、イスラエルもハマスもどちらも責任があるような言い方をしていた。ハマスがイスラエルにロケットを飛ばすのは犯罪的行為というべきだし、イスラエルが一般市民を殺害するのも、褒めた話ではない、というわけだ。

だが、小生のような第三者の目から見れば、こうした言説はためにしたものだと思わざるを得ない。誰が見ても、イスラエルとハマスとの間には、圧倒的に非対照的な力の差がある。言ってみれば、図体のでかい高校生が、幼稚園児を相手に腕力を振るっているようなものだ。こういうケースでは、力の強い方が自粛するのが事態の打開につながる。

だいたい今回の衝突の原因を作ったのはユダヤ人のほうである。東エルサレムに住むパレスチナ人の住居を一方的に剥奪して、その土地をユダヤ人に与え、東エルサレムにあるアラブの聖地へのアクセスを遮断した。不条理な仕打ちというべきであり、パレスチナ人が怒るのには理由がある。

そもそもユダヤ人がそうしたことを行なったのには、ネタニアフの影があると指摘されている。ネタニアフが政治的・法的な危機にあることはよく知られている。そうした危機を乗り越える方便として、対パレスチナ人の緊張を高めたのではないかと推測する向きもある。おそらくそうなのだろう。

ネタニアフが強気なのは、バイデンが日和見に徹するだろうと見込んでのことだ。じっさいバイデンは、ネタニアフに対して強い言い方をしていない。かえって、イスラエルには自衛権があると言って、その攻撃を合理化してやっているほどだ。それでは、イスラエルは攻撃をやめないだろう。やめさせることができるのはアメリカだけだと言ってよい。アメリカはこれまでも、イスラエルに巨大な軍事援助をして、中東の不安定要因に育て上げてきた。バイデンはそうしたアメリカの政策を引き継ぎ、今後もイスラエルに圧力をかけることは期待できない。事態は泥沼化し、それを国際社会が深刻に受け止めるまで、ユダヤ人によるパレスチナ人の虐殺はやまない可能性が大きい。

ともあれ、アメリカは中東危機に相当な責任を追っているというべきである。バイデンはその責任を果たすべきだ。





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