達磨図:曽我蕭白の世界

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曽我蕭白には達磨図がいくつか残っている。一番有名なのは伊勢の安養寺に伝わるものだが、この一幅もそれに劣らず迫力がある。

落款に「曽我蕭白鎮酔画」とあることから、酔いがさめた頃合に描いたとも受け取れるが、絵の印象からは、酔いながら、あるいは酔った勢いで描いたとも受け取れる。それほど即興性の強さを感じさせる図である。

太い墨線で身体の輪郭をあらわし、ぎょろりとした目玉で顔の表情を表現している。墨の太い線は、墨を含ませた筆(刷毛)を一気に走らせたように見える。あるいは毛筆の変わりに藁のようなものを用いたのかもしれない。

顔の描き方はざっくりとしているのだが、輪郭の太い線がそれ以上にざっくりとしているので、これでもまともに見える。蕭白に数多い、即興的な作品の典型例といえる。

(製作年不明 紙本墨画 121.3×54.5cm 個人蔵)






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