
マントは、パリの西50キロほどにあるセーヌ川沿いの小さな町である。コローはしばしばここを訪れ、風景を写生した。なかでも大聖堂と中世の石の橋が気に入り、繰り返し描いている。
「マントの大聖堂(La cathedrale de Mantes)」と題するこの作品は、セーヌ川を挟んだ大聖堂の遠景を描いたもの。川の手前の岸辺では男が釣糸をたらし、対岸には大聖堂が、木の枝の間から垣間見える。
コローは、この大聖堂を、視点をかえて様々な角度から、計六枚も描いている。やわらかい光が特徴で、印象派の画家たちに影響を与えた。ルノワールやモネも、この風景を写生しにやってきたということだ。
(1865-69年 カンバスに油彩 51×32cm フランス・マルヌ県、ランス美術館)
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