ミレー「羊飼いの少女」:バルビゾン派の画家たち

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1864年のサロンに出展した「羊飼いの少女(Bergère avec son troupeau)」は、非常に好意的な反響を受けて、一等賞になった。コローの傑作「モルト・フォンテーヌ」を押さえての優勝だった。この作品によってミレーの名声はいやましに高まり、国民的画家と呼ばれるようにもなった。

それまでのミレーの農民画は、農民の厳しい生き方を強調しているよう見えることから、社会に混乱を巻き起こす政治的な意図を非難されることが多かったのだが、この絵にはそうした政治性は読み取れない。のどかな田園風景を背景にして、清楚な少女が控えめな姿勢をとっているところが、見るものをして、誰もを感動させる。

ともあれ、この平和で静寂な雰囲気の絵は、各方面から絶賛を浴びたのである。なお、この絵のモデルは、ミレーの次女ルイーズだといわれている。(1963年 カンバスに油彩 81×101cm パリ、オルセー美術館)

この絵には、同じような構図の作品が先行している。1860年の作品「夕暮れに羊を連れ帰る羊飼い(Berger ramenant son troupeau le soir)」である。その作品と比べると、「少女」の方がずっと開放的でかつ平和な雰囲気を感じさせる。





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