死にかけているドジョウは使えない

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死にかけているドジョウは使えない。ドジョウはイキが良くないといけない。これはドジョウ料理店にとって、イロハのイなのだそうだ。

そうえいば筆者が小さかった頃、筆者の母親もピンピンとしているドジョウを豆腐と一緒に鍋に放り込み、ぐずぐずと煮立てていたものだ。ドジョウは熱に悶え、少しでも冷たいところを求めて豆腐の中にもぐり込む。こうするとドジョウの味が一層ひきたつ。死にかけたドジョウなど使い物にならん。筆者の母親もそういっていたものだ。

こんなことを言うのは、自らをドジョウに譬えている野田総理大臣が民主党総裁に再選され、今後の政局運営に意欲を見せているからだ。たしかに野田さんは民主党の総裁には大差で再選されたが、目下参議院の問責決議を受けているように、政治的には死に体に近い。そんな状態で果して日本のかじ取りをやっていけるのか。不安を感じるからだ。

自民党の総裁選で新しい総裁が決まったら、野田さんはその人と話し合いを持ち、先の三党合意の確認を含め、今後の政局運営の方向性を探りたい旨のことを言っている。自民党の総裁候補はいずれも、三党合意は尊重すると言っているから、誰が選ばれても、話し合いに応じないということはないだろう。だがその場合、近いうちに解散するという三党合意での野田さんの約束を盾にとって、解散の道筋をつけることを条件にするだろう。野田さんが解散を先延ばししそうなそぶりを見せれば、話し合いはうまくいかないだろう。

いずれにしても、現状のままでは国会運営は混乱したままだろう。参議院での審議は一切行われず、衆議院でも野田さんの足場は日に日に悪くなるばかりだ。遠からず先に、野田さんが完全な死に体に陥ることもありえない話ではない。

こんな状態を前にして、日頃野田さんに好意的な朝日新聞でさえ、早期解散の筋道を立てるよう、野田さんに勧めているほどだ。その場合に朝日が持ちだしている取引条件が、衆議院定数の改正及び特例公債法案の可決だ。どちらも野田政権にとって最重要法案だ。衆議院定数問題は、最高裁から違憲状態を指摘され、待ったなしの課題だ。特例公債法案も、早めに可決されないと日本経済や国民生活に甚大な影響を及ぼす。

野田さんは自民党の新しい総裁との間で話し合いを持ち、そのなかでこの二つの課題の解決に協力してもらうことを条件に、解散を約束すればよい。

民主党内は解散には反対の空気が強い。今解散すれば民主党が大敗するだろうと恐れているからだ。なるべく時間を稼いで、その間に政治的な実績をあげ、少しでも有利な状態で総選挙に臨みたい、その気持ちは議員心理としてわからぬでもない。しかし時間を稼いだからと言って、状態がよくなる見込みはほとんどない。むしろ野田政権が死に体内閣と化し、政局が泥沼化するだけだろうと思われる。

死にかけたドジョウが使えないように、死に体になった政権では仕事にならない。一刻も早く能力ある政権へ向けての地ならしをする。それが死にかけているドジョウである野田さんの使命かもしれない。


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