ウォー・ゲーム:アメリカはイスラエルの対イラン戦争に巻き込まれるか

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イスラエルのネタニアフ首相が、イランの核開発に反発して、自衛のための先制攻撃も辞さないといっている。もしもネタニアフがその言葉を実行したらどうなるだろうか、というよりも、アメリカはどうすべきだろうか。そんな背筋が寒くなるようなことを、真剣に考えている人々がいる。

アメリカのオバマ政権は、ネタニアフに自制を呼びかけてはいるが、いまの状況では、ネタニアフが先制攻撃に踏み切らないという保証はない。そうなった場合、オバマ政権はその後の対応を迫られるだろう。対応にはいくつかの選択肢がある。

まず、予想されるイランのイスラエル攻撃に対して、イスラエルを守るために、最大のことをする、必要ならイランとの戦争も辞さない、という選択肢だ。

この対極にあるのは、アメリカは介入しないという選択肢だ。つまり成り行きに任せ、イラン国内にいるアメリカ人の生命や財産を守ることに専念するというものだ。

この二つの選択肢の間には、色々なバリエーションの介入形態がありうる。ともあれ、ネタニアフがイランに対して先制攻撃をすれば、アメリカはすぐさま対応を選択しなければならない。ぐずぐずしてはいられないのだ。

その選択肢を決定するのは無論大統領のオバマだが、オバマは自分のスタッフの意見を聞きながら決めるだろう。そのスタッフとは、Principals Committee と呼ばれる最高諮問会議だ。構成員は、主席大統領補佐官、安全保障担当大統領補佐官、統合参謀会議議長、国務長官、NIC長官、CIA長官、国防長官などだ。この会議は、事態が起こってしまってからでは検討している時間の余裕はないだろう。それ故、事態が起こる前から、シミュレーションを重ねて置き、事態に対して迅速かつ適切な対応がとれるように準備しておくであろう。

その準備の過程をシミュレーションしたものを、Newsweekの最新号が紹介している。(Gaming a War with Iran By Dan Ephron)シミュレーションと言っても、現実のスタッフメンバーではなく、ダミーのメンバーによるシミュレーションである。

このシミュレーション結果によれば、アメリカがイスラエルを見捨てて局外者の立場をとる選択肢はないようだ。アメリカは、イスラエルの先制攻撃を非難せず、かえって予想されるイランの反撃から、イスラエルを守るような行動をとることになる。併せて予想されるイランやアラブ諸国の反米の動きにどう対応するか、アメリカは細心の注意を払って対応していくことになるだろう。

大雑把にいえば、こんなことになるようだ。

イスラエルはアメリカと軍事同盟を結んでいるわけでもなく、したがって道義上何が何でも守らなければならない国ではない。にも拘わらず、アメリカはイスラエルを見捨てることができない。そういう事情が、このシミュレーションのなかから透けて見える。(イラストは雑誌カバー)





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