米政治のねじれ構造は継続

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オバマ大統領がかろうじて再選を勝ち取ったアメリカの新しい政局は、民主党が上下両院で議席を積み増したものの、下院においては共和党が引き続き過半数を制した。その結果、日本と同じようなねじれ構造の事態が継続することとなった。

そんな状況を前にオバマ大統領は、党派を超えてアメリカの課題を克服するよう共和党に呼びかけたが、反応はいまひとつといったところだ。共和党のベーナー下院議長は、協力にはやぶさかではないが、政策面では譲れないものは譲れないと、強硬な姿勢を示しているからだ。

というのも、米議会の新しい布陣を見ると、民主、共和両党とも、党派性の強い議員が増えており、妥協を許さない雰囲気が高まっているようなのだ。雑誌TIMEの分析によれば、特に共和党の議員に党派色をむき出しにすることを好む議員が増えたようだ。彼らはオバマケアに大反対し、小さな政府を求める一方、国防費の削減には断固反対している。Elections Leave Congress Divided, Further from Compromise By Katy Steinmetz

オバマ大統領にとって当面する課題は「財政の崖」とよばれるものだ。これはブッシュ時代に決まった減税の期限が年内に切れるのと同時に、政府の歳出削減プログラムが自動的に作動するというもので、もしその通りになれば、アメリカの景気に深刻な影響の出ることが懸念されている。

オバマ大統領は、富裕層に限っては減税措置を撤廃したい考えだが、共和党は富裕層も含めて減税を延長せよと主張する一方、政府の歳出削減は行えと言っている。歳出削減の中心は社会保障予算にならざるを得ず、折角構築したオバマケアを後退させる意味合いがある。どちらもオバマにとっては受け入れがたいものだ。

そこで当面は、期間を区切って問題を先延ばしし、本格的な議論は年が明けてからといった妥協が図られる公算が大きいが、いまのところ、妥協が容易に成立する可能性は小さい。

要するに、議会内における民主、共和両党の対立構図が鮮明になって、何も決められない事態が生じているのだ。いまの日本の政局とまったく同じような状況に、アメリカの政局も陥っているわけである。

アメリカの有権者は、僅差でオバマの継続を選んだが、国民生活に大きな影響を及ぼす下院については、(特に経済政策について)オバマの民主党を支持しなかった。そんな構図が浮かび上がってくるようだ。





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