イスラエルのガザ攻撃

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イスラエルによるガザへの攻撃が激しいものになっている。攻撃の対象は軍事施設からハマスの関連施設へ、そして武器の貯蔵施設へと拡大している。そうした攻撃によってガザ地区の一般市民も巻き添えを食い、これまで(11月18日)に50人ほどのパレスチナ人が死亡した。

イスラエル側は、今回の事態の責任はハマス側にあると主張している。実際、先に攻撃を開始したのはハマス側である。ハマスが何故そういう行動に出たかについては様々な憶測があるが、イスラエルの総選挙を控えて、政治的な揺さぶりをかけようとしたのだ、という見方が有力だ。2008年にも、やはりイスラエルの総選挙を控えて、ハマス側が攻撃を仕掛け、その結果千数百人の死者を含む一万人規模の犠牲者が出た。

ハマスの方では、戦闘状況を出現させることでイスラエル内の厭戦気分を掻き立て、強硬派のネタニヤフの支持基盤を揺さぶるとともに、アラブの春の結果生じた新しい権力空間を、自分たちの都合のよい方向に引き寄せたいとの意図があったのかもしれない。しかし今の所、その意図は成功していない。それどころか、ネタニヤフはこの事態を逆手にとって、ハマスを一気に壊滅させようとしている。ハマスの軍事指導者アル・ジャバリを暗殺したことは、その意欲の表れだといえよう。

エジプトやトルコなどは、ハマスに同情的で、イスラエルの行動をやり過ぎだと言って強く非難しているが、ハマスへの物理的な援助をしようとまではいっていない。

アメリカは、今のところ、イスラエルの軍事行動は自衛権の範囲内のものだとして、イスラエルを擁護する姿勢を取っている。しかし、イスラエルの攻撃が余りにも度を超すようだと、それにも限界がある。2008年の時にも、イスラエルの攻撃が度を過ぎたために、イスラエルは国際的な反発を蒙り、アメリカもそれを無視できなくなった。

だがネタニヤフは強気だ。ハマスの軍事指導者暗殺は、正確な情報網と的確な攻撃とのコンビネーションによって可能になった。ネタニヤフはこれに自信を深めて、次はアッバスの暗殺を視野に入れていると伝えられている。国連に(パレスチナの)国家としての承認を求めているアッバスのやり方が、ネタニヤフには許せないのだ。

だが、余りも度を越した攻撃は、国際社会全体からの非難をもたらし、孤立を深めていくだけだ。力で相手を圧倒し、それによって自分の安全を確保しようとする考え方は、相手を皆殺しにでもしない限り成立しない。(写真はAFPから)





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