韓国の新大統領に朴槿恵(Park Geun-hye)女史

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韓国の大統領選が行われ、与党セヌリ党の朴槿恵(Park Geun-hye)女史が勝利した。投票率は51.6パーセントで、民主統合党の文在寅(Moon Jae-in)の得票率48パーセントをわずかに上回った形だ。これには色々な見方があるが、両候補の政策にあまり違いがなかったので、国民は安定を優先させたのだろうという見方が強いようだ。

李明博大統領の5年間は、経済成長が鈍化する一方、国民の間の格差が拡大したとする不満が高まっている。そこで両候補とも、格差の縮小に配慮した政策を訴えた。実際韓国は世界15位の経済規模を持つ一方で、社会福祉への支出割合は先進国中二番目に低く、貧富の格差は一番高いとされている。韓国人は、昔から隣人との横並びを尊重してきた民族柄ゆえ、等しく貧しいことには鷹揚だが、貧富の格差があることには、人一番敏感なのだ。

そこで、朴槿恵女史は、さまざまな社会保障プラグラムを用意して、格差の解消を図ると約束している。具体的な政策としては、大学授業料の半額援助、子育て対策の充実、医療費の公費負担制度の充実などだ。それに要する財源は、税の抜け穴を塞ぐことや行政の無駄を省くことで賄うと言っており、増税には言及していない。どこかの国の政党のマニフェストに似ているといえなくもない。その点を、保守系の東亜日報が財源の裏付けのない空約束などと批判している始末だ。

外交に関しては、前任者の李明博よりも柔軟な路線ととると予想されている。北朝鮮との関係については、話し合いを優先させる考えを強調しているし、日本に対しては、歴史認識を巡って注文することは忘れない一方、大局的な見地から相互協力を模索したいと言っている。日韓双方とも、指導者が入れ替わる事態を活用して、野田・李明博時代にすっかり冷え込んでしまった日韓関係を立て直すチャンスにしたいものだ。

朴槿恵女史はいうまでもなく、開発独裁者として、韓国を奇跡の成長に導いたとされる朴正煕の娘だ。朴正煕については、経済成長を巡って高い評価がある一方で、反体制派の勢力を仮借なく弾圧したことに対する厳しい批判もある。また、その親日的な姿勢を強く批判する向きもある。それ故、今回の大統領選挙では、父親の遺産をどのように処理するかがポイントになったわけだが、彼女はそれをうまく処理したようだ。

女史は22歳の時に母親を暗殺され、以後韓国のファーストレディとして、政治の舞台に立つようになった。そして父親が側近に暗殺された後は、みずから政治の表舞台に立つことを選んだ。彼女は独身を通してきたが、自分は国そのものと結婚したのだと言っているそうだ。(写真はWPから)





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