ヨルダン川西岸のユダヤ人入植地拡大

| コメント(0)

121202.westbank.jpg

イスラエルのネタニヤフ政権が、ヨルダン川西岸へのユダヤ人入植地拡大方針を打ち出した。国連がパレスティナをオブザーバー国家として認定したことに対する報復措置だというのがもっぱらの見方だ。イスラエルは1975年にも、国連がシオニズムを強く批判したことへの報復として入植政策を拡大したことがあったが、今回はその時の状況とよく似ている、と専門家は見ている。

この政策がおしすすめられれば、イスラエルとパレスティナとの関係が極端に悪化し、和平交渉が暗礁に乗り上げることが確実だ。その影響は余りにも大きい。それ故、イギリスやフランスなどのヨーロッパ諸国が、方針を撤回するようにイスラエルに迫ったほか、アメリカもネタニヤフ政権を批判せざるを得なかったほどだ。

ネタニヤフ政権が新たなユダヤ人入植地として選んだのは、東エルサレムに接するE1地区。更にその東側にはマアレ・アドニムという既存の入植地があり、E1地区にユダヤ人入植地が作られると、エルサレムからマアレ・アドニムにかけて、一帯の土地としてつながり、その結果として、パレスティナ人居住地区が、南北に分断されることとなる。

国際社会からの強い抗議に関わらず、今の所、ネタニヤフは強気だ。ネタニヤフには、パレスティナの一国政策と言うものがある。パレスティナ全体を一つの国家のもとにまとめ、そこをイスラエル人が支配する一方、パレスティナ人の権利を制限しようとするものだ。もしかしたら、ネタニヤフはそれを本気で実施しようと考えているのかもしれない。もしそうなら、イスラエルとパレスティナ国家との両立をめざしていた既存の交渉枠組は根本から覆ることになる。

しかしそんな方針を国際社会が容認するはずはない。ネタニヤフは、自分のやっていることの意味を、もっとよく考える方が良い。(写真はマアレ・アドニムのユダヤ人入植地:ロイターから)





コメントする

アーカイブ