高千穂峡を歩く:九州の旅その二

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二日目(十二月二日)は、六時に起床して朝風呂を浴び、朝餉を喫して後、八時頃ホテルを辞す。しかして湯布院温泉の一角にある金鱗湖なるところに立ち寄る。水中より温泉が湧き出るという。たしかに水面から湯気が立ち上っている。湯気は水面からのみならず、山の中腹からも勢いよく立ち上っている。このあたりは、山腹と言わず、水中と言わず、いたるところから温泉が湧き出ているようである。

湯布院温泉を出た後、バスは高千穂峡をめざしてひた走りに走った。途中黒川温泉近くの高原でトイレ休憩をした。その頃から雨が降り出した。その雨のために、本来なら南に阿蘇連山、東に九重連山が展望できるところが、何も見えない。ただ雨足を見るのみである。

ところで、九重連山の麓に広がる草原地帯の雄大さは、先年の旅行の折にも感じたところだが、今回はそれに加えて、阿蘇の周囲にも広大な草原が広がっている。そのような草原の風景は、本州では見られぬものだ。しかもそこに、黒や茶色の牛たちがのんびりと草を食んでいる。何とも言えず、ファンタスティックな眺めだ。

昼ごろ、高千穂峡の上部、高千穂神社の付近に到着した。そこから峡谷沿いに三〇分余りの行程を歩こうというのである。

雨足が繁くなったので傘をさして歩いた。峡谷は岩を深く刻んで、遥か脚下には深緑の水が流れているのが見える。峡谷の両側の岩は水に刻まれて、柱が林立しているように見える。柱状壁というのだそうだ。道筋の中ほどには瀑布がかかり、その下を幾組かのボートが行き来している。晴れていたら、もっとたくさんのボートが見られるはずと言う。

歩き終わって渓谷の下部にたどり着くと、そこからマイクロバスに乗せられて、バスの駐車場まで戻ってきた。そこで昼飯にしようというのである。

大部分の客は、ガイドに勧められた弁当を食っていたが、我々は駐車場内の蕎麦屋に入って、ビールを飲みながら牛蒡うどんなるものを食った。

食後高千穂神社に立ち寄った。どこにでもあるような小さな神社だ。これが神話の里にあって、高天原に通ずる入口、神々の憑代だとはとても思えない。いったいホノニニギの命は、本当にこの神社の憑代を目掛けて天下ってきたのだろうか。

もしそうだとしたら、その憑代になりそうな杉の巨木が神社の前庭に聳えていた。しかしこの杉は今や憑代ではなく、夫婦円満の象徴として担がれているのだそうだ。というのも、どんなに仲の悪い夫婦でも、手をつないでこの杉の周りを三周すれば、たちまち仲が良くなるというのだ。


関連サイト:あひるの絵本 





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