紹興28年、陸游はついに出仕することとなり、寧徳県主簿を拝命した。寧徳県は福建省にある、主簿とは県の庶務担当のような職である。そこへ赴任する途中、温州付近の瑞安県を通りがかった。その時に作ったのが「泛瑞安江風濤貼然」である。
瑞安江に泛べば風濤貼然たり(壺齋散人注)
俯仰兩青空 俯仰すれば兩つながら青空
舟行明鏡中 舟は行く 明鏡の中
蓬萊定不遠 蓬萊は定めて遠からず
正要一颿風 正に一颿の風を要するのみ
見上げても見下ろしても青空が広がっている、船が行くのは鏡の中のようだ、蓬萊はきっと近くにあるに違いない、一陣の風が吹けば飛んでいくことができよう(貼然とは穏やかなさま、水面が穏やかあって鏡のようになっているのだろう、したがって見上げては無論、見下ろしても水面に映った青空が見えるのである)
関連サイト:漢詩と中国文化
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